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第参章:この世界で二人生きていくためには
066.永久炉
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目の前には要塞馬車を牽引する機械馬が二頭いた。ここから見るとこの馬は金属の装甲を持っているとわかった。
「その機械馬はね、遥か昔にこの世界が戦争に明け暮れていた時代に量産された戦争遺産でね。いまでは、こうやって重量物を牽引する事しか出来ないけど、かつては熱い光を発したりして人や物を傷つけていたそうよ。でも、いまはただひっぱるだけよ。こんな物騒なところではこれが役にたつのよ」
ジェムシームはそう説明したけど、二人からすれば疑問があった。これって動力源はなんだろうかと。一行は連結棒にある細い通路を歩いていくと、機械馬の背中にあるハッチから中に入った。そこには水車のような歯車が馬の足を動かしていた。
「この馬はねえ、中に永久炉と呼ばれる機関があってね、物凄い熱を生み出しているのよ。まあ太陽を中に閉じ込めたようなものよね。
その永久炉に水を入れると物凄い勢いで蒸気が生じるので、その蒸気で馬を動かしているわけよ。まあ永久炉はもうこの世界では作ることが出来ないので、いまは珍しいものだけどね」
タクヤはこの説明を聞いてこの永久炉の正体は核融合炉ではないかと思っていた。それって二十一世紀になっても地球では実用化されていない技術じゃなかったのか? もしかすると、遥か昔に失われているようだけど、地球よりも遥かに進んだ科学技術がこの世界に存在していたようだ。
しかし、要塞馬車の内部は古い日本の民家のようであった。そうすると、この世界は科学技術が失われるような破局が遥か昔に起きたことは間違いないようだった。
永久炉のような技術が機械馬の動力になっているのに、この要塞馬車も機械馬の内部もものすごくボロボロだった。要塞馬車の床板も朽ちかけたような木の板だったけど、機械馬の中もすごいことになっていた。永久炉の排熱を使っているのか、得体のしれない植物の栽培が行われていた。
「ジェムシームさん、この実は一体何ですか? なんかおいしそうですね、甘い香りがしますし」
アサミが鼻を近づけようとしたが、急にジェムシームが大声をだした。
「その実はむやみに顔を近づけてはいけない! その実は魔法使いが誘惑のために使うマガディガスルじゃ! あまり匂いをかぎすぎると昏睡状態になるか淫乱になるぞ!」
「淫乱、ですか・・・なんでそんなのを栽培されているのですか?」
「まあ小遣い稼ぎじゃよ。その実結構高く売れるんだよ。この要塞馬車の維持費で結構経済的に苦しいから、旦那の趣味の古書代金の足しになっているんだ」
「ところでさっきから魔道士という言葉を聞くけど、それって俺たちがならないといけないものなんかよ」タクヤはそうジェムシームに聞いてきた。
「あなたち聞いていないんだね? 御神託があったんだよ、あなたたち二人はこの世界でこれから起きるであろう未曾有の事態に立ち向かうことが出来る存在だと。だから、こうして派遣ギルドはわざわざ迎えにこの要塞馬車を派遣したのだ。
本当ならもっと足の早い快速馬車や天空船もあるんだが、本当にその存在なのかを見極めようというわけだよ。まあわたしが思うには・・・もうちょっと時間がいるんじゃないかな」
「その機械馬はね、遥か昔にこの世界が戦争に明け暮れていた時代に量産された戦争遺産でね。いまでは、こうやって重量物を牽引する事しか出来ないけど、かつては熱い光を発したりして人や物を傷つけていたそうよ。でも、いまはただひっぱるだけよ。こんな物騒なところではこれが役にたつのよ」
ジェムシームはそう説明したけど、二人からすれば疑問があった。これって動力源はなんだろうかと。一行は連結棒にある細い通路を歩いていくと、機械馬の背中にあるハッチから中に入った。そこには水車のような歯車が馬の足を動かしていた。
「この馬はねえ、中に永久炉と呼ばれる機関があってね、物凄い熱を生み出しているのよ。まあ太陽を中に閉じ込めたようなものよね。
その永久炉に水を入れると物凄い勢いで蒸気が生じるので、その蒸気で馬を動かしているわけよ。まあ永久炉はもうこの世界では作ることが出来ないので、いまは珍しいものだけどね」
タクヤはこの説明を聞いてこの永久炉の正体は核融合炉ではないかと思っていた。それって二十一世紀になっても地球では実用化されていない技術じゃなかったのか? もしかすると、遥か昔に失われているようだけど、地球よりも遥かに進んだ科学技術がこの世界に存在していたようだ。
しかし、要塞馬車の内部は古い日本の民家のようであった。そうすると、この世界は科学技術が失われるような破局が遥か昔に起きたことは間違いないようだった。
永久炉のような技術が機械馬の動力になっているのに、この要塞馬車も機械馬の内部もものすごくボロボロだった。要塞馬車の床板も朽ちかけたような木の板だったけど、機械馬の中もすごいことになっていた。永久炉の排熱を使っているのか、得体のしれない植物の栽培が行われていた。
「ジェムシームさん、この実は一体何ですか? なんかおいしそうですね、甘い香りがしますし」
アサミが鼻を近づけようとしたが、急にジェムシームが大声をだした。
「その実はむやみに顔を近づけてはいけない! その実は魔法使いが誘惑のために使うマガディガスルじゃ! あまり匂いをかぎすぎると昏睡状態になるか淫乱になるぞ!」
「淫乱、ですか・・・なんでそんなのを栽培されているのですか?」
「まあ小遣い稼ぎじゃよ。その実結構高く売れるんだよ。この要塞馬車の維持費で結構経済的に苦しいから、旦那の趣味の古書代金の足しになっているんだ」
「ところでさっきから魔道士という言葉を聞くけど、それって俺たちがならないといけないものなんかよ」タクヤはそうジェムシームに聞いてきた。
「あなたち聞いていないんだね? 御神託があったんだよ、あなたたち二人はこの世界でこれから起きるであろう未曾有の事態に立ち向かうことが出来る存在だと。だから、こうして派遣ギルドはわざわざ迎えにこの要塞馬車を派遣したのだ。
本当ならもっと足の早い快速馬車や天空船もあるんだが、本当にその存在なのかを見極めようというわけだよ。まあわたしが思うには・・・もうちょっと時間がいるんじゃないかな」
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