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第参章:この世界で二人生きていくためには
065.車中散策
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ガルアブル文字は漢字のような表意文字であったが、漢字以上に記号化されていて複雑な文字体系だった。そのためガノアの住民でも習得するのに長い年数がかかるというものであったが、二人にはなんとなく意味がわかったのだ。
「えーと、この本は魔道士列伝か。この世界は・・・」
「タクヤ、そういった本は後でゆっくり読んで。それよりも気にならない、派遣ギルドに出頭してもらいたいといっていたけど、わたしたちをそこに連れていくってことよね? わたしたちどうなるのだろう?」
「どうなんだろうね。この世界の事なにもわからないから。此処に来てみたものといえば、見渡す限り一面の葦原と巨石、そしてこの要塞馬車だけだから。それにしてもこの馬車、どこかで見たことあると思ったら昔遊園地にあった”トロイの木馬”みたいだな」
「よく似ているけど、これって巨大なウマみたいなもので引っ張っていたよね。しかも蒸気を上げていたし。それにしても、この世界の文化や技術はどうなっているんだろうね。想像もつかないわね」
「そうだ! アサミこの要塞馬車の中を散策してみないか? それぐらいは大目にみてくれるだろうから」
「それもそうね。とりあえずやることないし、それにね」
「それってなんだ?」
「わたし、ネコから人間に再びなれたのだから二本の足で歩きたいし。まあ耳はネコのままだけど」
そういってアサミはネコが前足でかきむしるように耳を手でジェスチャーをしていた。
「あっ! これはいけない。ネコの癖がとれていないわ!」アサミははずかしそうにしていた。
タクヤはアサミと一緒に要塞馬車の中を歩き始めた。この要塞馬車の廊下は大変狭く肩がぶつかりそうだった。このような乗り物を見たことあるとタクヤが思ったが、それは潜水艦の内部のようだった。
要塞馬車の中には調理場や食料庫などもあった。二人で調理場を覗いていると中から老女が出てきた。
「あなたたちなの? うちの馬車がこんな辺鄙なところまで向かいに来たのは。そうそう私はこの馬車で旦那と一緒に暮らしているジェムシームというのよ。さっき会ったのが旦那のヴァリラディス・フォートクトスなのよ。もうこの馬車に乗って八十年近くになるわ」
あとで知ったことであるが、この要塞馬車の夫婦みたいにこの世界では長寿が標準的だということだった。でも、このふたりの正確な年齢は教えてもらえなかったけど。二人はジェムシームばあさんに案内してもらった。
「この要塞馬車はねえ、魔道士派遣ギルドに登録されているパーティーと旅するためのものでね、世界各地に移動するのよ。そうそう、この要塞馬車は図体は大きいけど足が遅くてね。だから稼働率が悪くて出動したのは久しぶりよ。
いつもはライディスの城壁近くで止まっていたけど、あななたちの用があったからこんな辺鄙な地の果てにきたわけ。それにしても、あなたたちは一緒に来るのよね」
「するもしないも、これから何がおきるのか判らないのですけど、ジェムシームさんはなにかご存知ですか?」
ジェムシームに案内されて次に通されたのは、馬車と機械馬を連結している場所だった。ここは地上より六メートルの高さだったので、周囲の風景がよく見えた。そこからは、どこまでも続いているようにみえた葦原の先に青い水平線が見えていた。
「えーと、この本は魔道士列伝か。この世界は・・・」
「タクヤ、そういった本は後でゆっくり読んで。それよりも気にならない、派遣ギルドに出頭してもらいたいといっていたけど、わたしたちをそこに連れていくってことよね? わたしたちどうなるのだろう?」
「どうなんだろうね。この世界の事なにもわからないから。此処に来てみたものといえば、見渡す限り一面の葦原と巨石、そしてこの要塞馬車だけだから。それにしてもこの馬車、どこかで見たことあると思ったら昔遊園地にあった”トロイの木馬”みたいだな」
「よく似ているけど、これって巨大なウマみたいなもので引っ張っていたよね。しかも蒸気を上げていたし。それにしても、この世界の文化や技術はどうなっているんだろうね。想像もつかないわね」
「そうだ! アサミこの要塞馬車の中を散策してみないか? それぐらいは大目にみてくれるだろうから」
「それもそうね。とりあえずやることないし、それにね」
「それってなんだ?」
「わたし、ネコから人間に再びなれたのだから二本の足で歩きたいし。まあ耳はネコのままだけど」
そういってアサミはネコが前足でかきむしるように耳を手でジェスチャーをしていた。
「あっ! これはいけない。ネコの癖がとれていないわ!」アサミははずかしそうにしていた。
タクヤはアサミと一緒に要塞馬車の中を歩き始めた。この要塞馬車の廊下は大変狭く肩がぶつかりそうだった。このような乗り物を見たことあるとタクヤが思ったが、それは潜水艦の内部のようだった。
要塞馬車の中には調理場や食料庫などもあった。二人で調理場を覗いていると中から老女が出てきた。
「あなたたちなの? うちの馬車がこんな辺鄙なところまで向かいに来たのは。そうそう私はこの馬車で旦那と一緒に暮らしているジェムシームというのよ。さっき会ったのが旦那のヴァリラディス・フォートクトスなのよ。もうこの馬車に乗って八十年近くになるわ」
あとで知ったことであるが、この要塞馬車の夫婦みたいにこの世界では長寿が標準的だということだった。でも、このふたりの正確な年齢は教えてもらえなかったけど。二人はジェムシームばあさんに案内してもらった。
「この要塞馬車はねえ、魔道士派遣ギルドに登録されているパーティーと旅するためのものでね、世界各地に移動するのよ。そうそう、この要塞馬車は図体は大きいけど足が遅くてね。だから稼働率が悪くて出動したのは久しぶりよ。
いつもはライディスの城壁近くで止まっていたけど、あななたちの用があったからこんな辺鄙な地の果てにきたわけ。それにしても、あなたたちは一緒に来るのよね」
「するもしないも、これから何がおきるのか判らないのですけど、ジェムシームさんはなにかご存知ですか?」
ジェムシームに案内されて次に通されたのは、馬車と機械馬を連結している場所だった。ここは地上より六メートルの高さだったので、周囲の風景がよく見えた。そこからは、どこまでも続いているようにみえた葦原の先に青い水平線が見えていた。
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