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第参章:この世界で二人生きていくためには
075.骨董のような
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ネコ耳老婆の若い頃はどうだったんだろう? アサミは想像しようとしてみたけど、上手く浮かんでこなかった。もし人間に完全にならなかったらわたしもあんな風になるのかしら? そんな事を思っていた。
「そうそう、わしの名前を言っていなかったな。シフォンヌ・フォヴォ・エガリィーだ。今年で九十九歳だ。これでも八十歳まで魔道士だったんじゃ。
もっとも、最後のあたりは若い子を使って楽していたけどさ。そうそう心配しなくてもいいぞ。そこのネコ耳ちゃんにはわしの若い頃に使っていた道具を一式譲ってあげるさ」
そうシフォンヌばあさんは奥の部屋に案内していたが、その時常連だから来た事が何度もあるはずなのに、置かれている商品に目に集中してしゃべらなかったヴァリラディスが口を挟んできた。
「シフォンヌ姉さん。それって昔、赤龍帝から下賜された防具のことじゃないか? あれって確か骨董価値があるからシンファー金貨1000枚でも買いたいという収集家がいるんじゃないか。そんな高いものわしが貯めている銭だけじゃ足らんぞ!」
「なにいっているんさヴァリさん。わしはそこのネコ耳ちゃんに譲るんじゃよ。まあ、出世払いといったところさ。なんだって、あれはこの世界でも数少ない代物だからさ。それに誰かのコレクションになってしまうよりも、使いこなせるネコ耳娘が持ったらあれだって喜ぶだろうし」
そういってシフォンヌはネコ背をさらに丸くさせながらアサミに語りかけるようにいったが、それって骨董品じゃないかしらと思うアサミであった。
アサミの想いなど関係なくシフォンヌはある部屋に案内した。その部屋は大きかったが中央に意味ありげな箱が鎮座していた。
「これは赤龍帝がわしにプレゼントしてくれた防御用衣装だ。いま、これと同じ物を作り出せる職人は世界に三人いるかどうかじゃ。それに選ばれた者しか装着できないのだ。しかも適合すればいつどこでも装着できるようになるのさ」
そう彼女がいうとタクヤが口を挟んできた。
「おばちゃん、そういうけどアサミになにか危険な目に会うようになったりしないですよね? それになんですか防御用衣装って?」
「それはなあ、魔道士が着る衣装のことだ。大抵は霊的攻撃である呪詛や武器による物理的攻撃といったものを防ぐものだけど、この防御用衣装は強大な攻撃力も備わっているんじゃよ。
こいつは、わしが赤龍帝が下されたものだけど、この衣装を着こなせれば魔道士十人分の攻撃力を発揮できるのじゃよ」
「それにしても・・・おばさんはそれを何歳まで来ていたのですか?」
「そうじゃなあ・・・最後は四十五歳だったかな? その時、一度引退したためだけど正直なところ若い娘が着用すれば絵になるけど、中年おばさんが着用するとどうも・・・なんていわれたのが原因さ。理由は実物を見ればわかるさ」
そういってシフォンヌはお宝でも出てきそうな箱を触り始めた。後で聞いた話によればその箱の中身を所有している者にしか開けられないという代物だった。だから彼女は生きているうちに継承者に渡したいと願っていたという。
その箱を開けようとしている最中に感激といった表情をしていたのがヴァリラディスだった。彼は興奮気味で言っていた。
「生きているうちに、あの伝説的な装備を再び見れるなんて、なんて幸せなんだろうか?」
そう口にした彼女は笑みを浮かべていた。
「そうそう、わしの名前を言っていなかったな。シフォンヌ・フォヴォ・エガリィーだ。今年で九十九歳だ。これでも八十歳まで魔道士だったんじゃ。
もっとも、最後のあたりは若い子を使って楽していたけどさ。そうそう心配しなくてもいいぞ。そこのネコ耳ちゃんにはわしの若い頃に使っていた道具を一式譲ってあげるさ」
そうシフォンヌばあさんは奥の部屋に案内していたが、その時常連だから来た事が何度もあるはずなのに、置かれている商品に目に集中してしゃべらなかったヴァリラディスが口を挟んできた。
「シフォンヌ姉さん。それって昔、赤龍帝から下賜された防具のことじゃないか? あれって確か骨董価値があるからシンファー金貨1000枚でも買いたいという収集家がいるんじゃないか。そんな高いものわしが貯めている銭だけじゃ足らんぞ!」
「なにいっているんさヴァリさん。わしはそこのネコ耳ちゃんに譲るんじゃよ。まあ、出世払いといったところさ。なんだって、あれはこの世界でも数少ない代物だからさ。それに誰かのコレクションになってしまうよりも、使いこなせるネコ耳娘が持ったらあれだって喜ぶだろうし」
そういってシフォンヌはネコ背をさらに丸くさせながらアサミに語りかけるようにいったが、それって骨董品じゃないかしらと思うアサミであった。
アサミの想いなど関係なくシフォンヌはある部屋に案内した。その部屋は大きかったが中央に意味ありげな箱が鎮座していた。
「これは赤龍帝がわしにプレゼントしてくれた防御用衣装だ。いま、これと同じ物を作り出せる職人は世界に三人いるかどうかじゃ。それに選ばれた者しか装着できないのだ。しかも適合すればいつどこでも装着できるようになるのさ」
そう彼女がいうとタクヤが口を挟んできた。
「おばちゃん、そういうけどアサミになにか危険な目に会うようになったりしないですよね? それになんですか防御用衣装って?」
「それはなあ、魔道士が着る衣装のことだ。大抵は霊的攻撃である呪詛や武器による物理的攻撃といったものを防ぐものだけど、この防御用衣装は強大な攻撃力も備わっているんじゃよ。
こいつは、わしが赤龍帝が下されたものだけど、この衣装を着こなせれば魔道士十人分の攻撃力を発揮できるのじゃよ」
「それにしても・・・おばさんはそれを何歳まで来ていたのですか?」
「そうじゃなあ・・・最後は四十五歳だったかな? その時、一度引退したためだけど正直なところ若い娘が着用すれば絵になるけど、中年おばさんが着用するとどうも・・・なんていわれたのが原因さ。理由は実物を見ればわかるさ」
そういってシフォンヌはお宝でも出てきそうな箱を触り始めた。後で聞いた話によればその箱の中身を所有している者にしか開けられないという代物だった。だから彼女は生きているうちに継承者に渡したいと願っていたという。
その箱を開けようとしている最中に感激といった表情をしていたのがヴァリラディスだった。彼は興奮気味で言っていた。
「生きているうちに、あの伝説的な装備を再び見れるなんて、なんて幸せなんだろうか?」
そう口にした彼女は笑みを浮かべていた。
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