元ホームレス・タクヤとネコ耳娘アサミ魔道伝:Re

ジャン・幸田

文字の大きさ
80 / 166
第参章:この世界で二人生きていくためには

079.キュリットロス

しおりを挟む
 アサミが自分の姿を見たとき思い出したのは、そう大学時代に見たコスプレだ。あれは二年前いや十二年前(とはいっても十年は死んでいて記憶がないけど)だったか、友人の美保子に誘われていったコスプレがドレスコードのハロウィーンパーティーの出来事だった。

  あの時アサミは、申し訳ない程度にメイドの衣装で行ったけど、参加者の中には女性で露出度の高いゲームやアニメのキャラクターのコスプレをした若い女性が大勢いて、あんな格好よく出来るもんだ! などと思っていたことがあった。

  そう、あんな胸元がバックリ開いたり、巨乳を強調するかのような衣装など頼まれたってするもんですかとの、感想を持った。しかし、自分がしている格好はまさにそのような衣装をきているじゃないか!

  しかも、ネコ耳とネコの尻尾を付けている状態の上に、その衣装である。本当なら恥ずかしい! と思うところであるだろうけど、いまは別の世界に居るのだ。この世界で生きていくためには、この衣装に受け入れてもらわないといけなさそうだった。

  「おばさん、どうかしら? わたしこの衣装きついのですが・・・」

  「大丈夫かと思うよ。もし最初からダメならそこまで履く事なんかできないわ。前に譲ろうと思った娘なんか、足を裾に通そうとしただけで衣装の方が逃げ出してしまったから、いまんとこと大丈夫だ」

  着られたくないからって逃げ出す衣装ってなんだろうねとアサミが思っていたけど、アサミの身体をその衣装が包んでしまった。今時、アサミは自分がなんかのゲームのキャラクターにでもなったような気分になっていた。その時、頭の中で誰かの声が聞こえてきた。

 「お前は誰だ?」頭の中に若い女の声が聞こえたような気がしたアサミは何がおきたか判らなかった。

  「あなたこそ誰ですか?」アサミは首を左右に振ったが、目の前にシフォンヌおばさんがいるだけだった。

  「わが名はキュリットロス。この甲冑に封じ込まれし者の魂である。われは一緒に行動しようと思う者でなければ動く事はない。お前の事だが、まあもう少し様子を見ようと思うがどうだ?」

  「できたらそうしていただきたいのですが・・・ところでキュリットロスさん。いま魂といわれましたけどスーツに閉じ込められる前はどうされていたのですか?」

  「わがスーツを着ようとする娘が皆聞くことだから教えよう。われは遥か昔の女戦士だ。肉体は滅んだがいまも同じ女戦士を助けるために存在しているのだ。
  そこのシフォンヌは今までで最高のパートナーだったが、彼女は引退して久しいから、久しぶりで動かしたくなったからな。お前こそ、わが魂に応えてくれないか?」

  それにしてもスーツが自我を持ち話しかけるという状況がアサミには信じられなかった。しかもかつては人間だったようなので戸惑う事ばかりだった。

  「キュリットロス、久しぶりね。あんたも気に入ってくれたか、このアサミって娘を」

  そういってシフォンヌはアサミが着ているスーツの腰に手をかけていた。するとスーツの方が反応した。

  「シフォンヌよ、とりあえず合格という事にしようぞ。まあ、実戦で判断していく事になるだろうけどな」

 スーツはアサミを使用者と認めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界国盗り物語 ~戦国日本のサムライ達が剣と魔法の世界で無双する~

和田真尚
ファンタジー
 戦国大名の若君・斎藤新九郎は大地震にあって崖から転落――――気付いた時には、剣と魔法が物を言い、魔物がはびこる異世界に飛ばされていた。 「これは神隠しか?」  戸惑いつつも日本へ帰る方法を探そうとする新九郎  ところが、今度は自分を追うように領地までが異世界転移してしまう。  家臣や領民を守るため、新九郎は異世界での生き残りを目指すが周囲は問題だらけ。  領地は魔物溢れる荒れ地のど真ん中に転移。  唯一頼れた貴族はお家騒動で没落寸前。  敵対勢力は圧倒的な戦力。  果たして苦境を脱する術はあるのか?  かつて、日本から様々なものが異世界転移した。  侍 = 刀一本で無双した。  自衛隊 = 現代兵器で無双した。  日本国 = 国力をあげて無双した。  では、戦国大名が家臣を引き連れ、領地丸ごと、剣と魔法の異世界へ転移したら――――? 【新九郎の解答】  国を盗って生き残るしかない!(必死) 【ちなみに異世界の人々の感想】  何なのこの狂戦士!? もう帰れよ!  戦国日本の侍達が生き残りを掛けて本気で戦った時、剣と魔法の異世界は勝てるのか?  これは、その疑問に答える物語。  異世界よ、戦国武士の本気を思い知れ――――。 ※「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも投稿しています。

僕だけレベルダウンな件〜敵を倒せば倒すほど弱くなるので、目立たずスローライフを目指します〜

小林一咲
ファンタジー
まったく数奇な人生である。 僕の名前は橋本 善。 正真正銘の日本人だが、今は異世界にいる。 理由なんてわかるはずがない。 死んだのか、はたまた何かの召喚に巻き込まれたのか。 僕には固有スキルがあった。 それは、スキル【レベルダウン】。 魔物を倒し、経験値を得るほどレベルやステータスがさがるというものだ。 だから僕は戦わない。 安心安全のスローライフを目指すんだ!!

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

異世界魔法、観察してみたら

猫チュー
ファンタジー
異世界に転生した少年レイは、ある日、前世の記憶を取り戻す。 未知でありながら日常の一部となっている魔法に強い興味を抱いた彼は、村の魔法オババに師事し、修行の日々を送る。 やがてレイは、この世界の魔法が、地球で学んだ知識と多くの共通点を持つことに気づいていく。 師の元を離れ、世界を知っていく中で、少年は魔法を観察し、考え、少しずつ理解を深めていく。 これは、少年レイが世界を、魔法を、科学していく物語。

魔王と呼ばれた勇者、或いは勇者と呼ばれた魔王 〜最強の魔剣で自由に生きる! 金も女も、国さえも思いのまま!! …でも何かが違うみたいです

ちありや
ファンタジー
クラスメートからのイジメが元で死んでしまった主人公は、その報われぬ魂を見かねた女神によって掬い上げられ異世界で転生する。 女神から授けられた不思議な剣を持つことで、彼はあらゆる敵に打ち勝ちあらゆる難問を解き明かし、あらゆる女性を虜にする力を手に入れる。 無敵の力を手に入れた男が次に望む物は果たして…? 不定期連載(7〜10日間隔で出していく予定)

『異界酒場 ルーナ』

みぎみみ
ファンタジー
東京・渋谷から少し外れた路地の奥、築五十年のビルの地下一階。看板は小さく、知っている人しか辿り着けない。  カウンター八席、テーブル二卓。深夜零時から夜明けまでの営業。 ルーカス(本名:ルカシュ・ヴァルド)  異世界の小さな王国の第三王子として生まれたが、王位継承争いに巻き込まれ、魔法陣の暴走によって現代日本に転移してきた。外見は三十代前半の白人男性。銀灰色の髪と、光の加減で金色にも見える瞳を持つ。日本語は「声の魔法」で習得した。  他人の「最も深い渇望」が視える力を持つ——それは意識的な欲求ではなく、本人すら気づいていない魂の底の叫び。酒や料理を通じてその渇望に応える。  自分の力を「呪い」だと思っていた時期もある。今はただ、使い道を見つけた、という感覚でいる。

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。 身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。 配信で明るみになる、洋一の隠された技能。 素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。 一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。 ※カクヨム様で先行公開中! ※2024年3月21で第一部完!

処理中です...