元ホームレス・タクヤとネコ耳娘アサミ魔道伝:Re

ジャン・幸田

文字の大きさ
93 / 166
第肆章:魔導士見習いとしてやることは?

092.カイムの剣

しおりを挟む
 気を取り直して一行は住民登録のためにハバス市政府庁舎がある中心部に向かったが、ストリートには様々な行商人が並んでいて、様々な魔道士の装備品のほか、変わった食材、骨董品も販売されていた。

  そんな行商人のうちアサミは衣服を扱う行商人の前でシバシバ立ち止まっていた。それをヴァリさんが何度もたしなめていた。

  「女の子だから服に興味があるのはわかるけど、早く手続きをしましょう。それに今は服を買っている間はありませんし、それにお金も足らないかもしれませんよ。とりあえず魔道士見習いは薄給ですから、余計なものは買われない方がいいですよ」

  そういわれアサミは仕方なく従った。そのとき友人の美保子や妹の奈緒美の事を思い出した。そういえば私って服を滅多に買わないのになぜが服を見て回ったので二人が迷惑していた事を。どうも、見るのが楽しくてそうしたのかもしれなかった。そう思っていたとき頭の中でキュリットロスの声が聞こえてきた。

 キュリットロスはアサミの尻尾のリボンに憑依しているような状態であったが、時たま意識が戻ったかのように話しかけることがあった。もちろん「キュリットロスの胴衣」をアサミが着用すればずっと会話(テレパシーみたいなものなので他人には聞こえないけど)できるのであるが。

  「アサミ、あそこの古い樽が置かれている骨董屋があるでしょ。その奥にある青い皮袋を開けて御覧なさい。さあ、急いで!」

  いわれるままにアサミはその骨董屋に直ぐ入っていわれるままにその皮袋を見つけた。その皮袋は物凄い埃が被っていて、おもわずアサミは咳こんでしまったが、そこには古い剣があった。

  「アサミどうしたんだよ。いきなり走り出すんだから。いったい何が起きたんだよ、いままで骨董品なんかに興味を示さなかったというのに」

  タクヤはヴァリと追いかけてきたが、二人とも何が起きたのかと驚いていた。しかし、ヴァリがその皮袋の中身を見たところ、もっと驚いていた。

  「それって随行騎士のカイムが使っていた剣じゃないのか? たしか五百年前に行方不明になっていたはずだが?」

  「そのカイムが使っていた剣ってなんなんですか? それに何か聞いた事あるし・・・それにしてもアサミどうしてそんなものを見つけることができたのかよ」

  「キュリットロスさんの声、私が持っている胴衣の意思というのかな、それに導かれたのよ・・・」

  すると、アサミの心の中に再びキュリットロスの声が聞こえてきた。

  「その剣は、わたしの相棒だったカイムが使っていたものよ。一種の魔道術を使えるものよ。そこのタクヤが持てばきっと彼にもあなたにも役に立つわよ。それにしてもシフォンヌと前に此処の前を通った時には気が付かなかったのになんであるのよ、彼の剣は!」

  その声はなんか懐かしい者に再会したかのような感慨深い感じ感情がこもっていた。もっとも、その声が聞こえるのはアサミだけなので周囲にいたものはキョトンとしていた。

  「いったい、なんなんだね。そんな未整理品のガラクタから何を取り出したというのかね?」
  店の奥から骨董屋の主人のような者が出てきたが、その主人は全身毛むくじゃらで愛嬌のある顔をしていた。アサミとタクヤは思わず噴出してしまった。

  「あなた、ご主人ですか?」

  「ああ、そうだ。でもなぜ笑っているんだよ」

  アサミとタクヤには店の主人が信楽焼のタヌキの置物のように見えていた。そう擬人化したタヌキにしか見えなかった・・・
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

学年一可愛いS級の美少女の令嬢三姉妹が、何故かやたらと俺の部屋に入り浸ってくる件について

マカロニ
恋愛
名門・雄幸高校で目立たず生きる一年生、神谷悠真。 クラスでは影が薄く、青春とは無縁の平凡な日々を送っていた。だがある放課後、街で不良に絡まれていた女子生徒を助けたことで、その日常は一変する。救った相手は、学年一の美少女三姉妹として知られる西園寺家の次女・優里だった。さらに家に帰れば、三姉妹の長女・龍華がなぜか当然のように悠真の部屋に入り浸っている。名門令嬢三姉妹に振り回されながら、静かだったはずの悠真の青春は少しずつ騒がしく揺れ始める。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

俺のレベルが常人では到達不可の領域にある件について ~全ユーザーレベル上限999の中俺だけレベル100億いった~

仮実谷 望
ファンタジー
ダンジョンが当たり前のようにある世界になって3年の月日が流れてずっとダンジョンに入りたいと願っていた青年が自宅にダンジョンが出現する。自宅の押し入れにダンジョンが出現する中、冷静に青年はダンジョンを攻略する。そして自分だけがレベル上限を突破してレベルが無尽蔵に上がり続けてしまう。そうしていづれは最強への探索者として覚醒する青年なのであった。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

{完結保証}規格外の最強皇子、自由に生きて無双する〜どこへ行っても、後世まで語られる偉業を残していく、常識外れの皇子〜

Saioonji
ファンタジー
母に殴られ、命を奪われた――そのはずだった。 だが目を覚ました先は、白く豪奢な王城の一室。 赤子の身体、仕えるメイド、そして“皇子”という立場。 前世では愛されず、名前すら価値を持たなかった少年が、 今度は世界の中心に生まれ落ちてしまった。 記憶を失ったふりをしながら、 静かに、冷静に、この世界を観察する皇子。 しかし彼の中には、すでに常識外れの思考と力が芽生えていた。 ――これは復讐でも、救済でもない。 自由を求めただけの少年が、 やがて国を、歴史を、価値観そのものを揺るがしていく物語。 最強であることすら、彼にとってはただの前提条件だった。 重複投稿作品です 小説家になろうとカクヨムにも投稿しています。

【新作】1分で読める! SFショートショート

Grisly
ファンタジー
❤️⭐️感想お願いします。 1分で読める!読切超短編小説 新作短編小説は全てこちらに投稿。 ⭐️忘れずに!コメントお待ちしております。

処理中です...