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壱・内臓募集

3.未知子

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 敷地内を歩いていたのは着ぐるみ美少女たちであった。顔はバラバラでどことなく古びてはいたけど、人形そのものにしか見えなかった。服装は体操服にブルマという昭和の女子学生みたいだったが、その身体はタイツ地に覆われていた。それで最初にやったのは声掛けだった。

 「あのう、すいません。ここはアクション・ドーラさんの事務局ですよね?」

 声掛けした相手は気が付いたようであったけど、こっちを向いてもしゃべってくれなかった。これって何故なんだと思っているとあらぬ方から声がした。

 「決まっているんじゃないのよ! 着ぐるみに中の人はいない! だからしゃべらないのよ!」

 その声は声優のようなアニメ声だったが、その姿は若いが女芸人みたいであった。その手には冊子を抱えていた。

 「そうですか。すいませんが内臓募集に応募したものですが、どこに行けばいいのですか?」

 そういうと、相手の女は表情を変えた、その表情は満面の笑みだった。

 「なあんだあ。君が新人になるかもしれないのね。あたいは新郷未知子よ! 劇団アクション・ドーラのスタッフなのよ、よろしくね」

 僕はこの時、未知子さんの笑顔の虜になった。なぜ大して美人でもないのに惹かれたのか分からないけど、それが冥道魔道の入り口であったのは間違いなかった。
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