【SF短編集】機械娘たちの憂鬱

ジャン・幸田

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強化ギブスは機械娘になること

後編:ロボットにされたチームメイト

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 キョウカのチームメイトは抵抗したが、一人また一人とプレイスーツを装着させられてしまった。中には退団しようとしたものもいたけど、半ば強引に連れ戻されてから、プレイスーツの内臓にされてしまった。こうしてキョウカの仲間は21体の銀色の女性型ロボットサッカーチームに生まれ変わった!

 「コンナスガタニナッタラ、ホカノチームトタイセンデキナイワ!」

 「ナンカキモチイイケド、コノプレイスーツ。デモ、ドコニモイケナイシ、アソビニモイケナイワ」

 チームメイトたちは不満が噴出していたが、カナエは意にかえさなかった。なぜなら彼女も首から下は同じ姿だったのだ! 一人だけ人間の顔のままというのは卑怯であった。

 「とりあえず、このまま三か月その姿でいて! そうしたら充分実力が付くし、それにスポンサー料をいっぱい用意するからね!」

 三か月? それを聞いただけでキョウカは嫌になった。でも、反抗することは出来なかった。ロボットだから! 出来る事といえば、愚痴るだけだった。こうして三か月間キョウカのチームはどこかの南の島に連れていかれ、毎日プレイスーツによって強制的に練習させられた。もちろん、脱ぐことは許されなかった。

 三か月の間、キョウカは死に物狂いでロボットサッカー選手になり切って頑張った。すると見る見るうちに実力が上がり、他のロボットになったチームメイト以上に活躍できるようになった。連れてこられた南の島には他にもロボットにされたサッカーチームがいくつもあって、それらのチームとのリーグ戦でMVPにも選ばれた、これで人間に戻れる!

 そう思った、最後の晩。メンテナンス中に意識を失った。そして次の朝に・・・

 「キョウカ! おめでとう! あなたは選ばれたのよ! プレミアムメタルガールフットボールリーグに!」

 カナエに起こされて起動したキョウカは自分の身体の異変に気が付いた!

 「オハヨウゴザイマス、コレハイッタイナンデスカ?」

 キョウカの身体を覆っているプレイスーツのデザインが変わっていた。銀色のスーツよりも恰好よくなっていたのだ。ボディラインがシャープで、カラーリングも。しかも同じ姿のプレイスーツを着たチームメイトが四体いた?

 「あなたたち五人は選ばれたのよ! あなたたちは今日からプロ契約よ! 引退まで活躍すれば巨額の報酬が約束されるわよ! まあ、無事に現役を終えたらだけどね!」

 カナエの言葉にキョウカは戸惑っていた、すると頭の中に色んなデータが流れ込んだ。今日から自分はロボットサッカー選手として稼働しないといけないと! そしてチームは・・・

 「ウレシクオモイマス! エラバレテ!」

 キョウカはそんなことを思っていないってば! そう思っていないはずなのに反応していた。これはキョウカの肉体を素体にしたバイオノイドによる国際的闇社会が運営するロボットサッカーの選手にされてしまった! 自分の意志なんか関係なく!

 「ホカノメンバーハ、ドウシマシタ?」

 カナエは少し不気味な笑みを浮かべた。

 「ホカノメンバー? 記憶を消してから戻したわよ。今頃、私はだれ? ここはどこ? なんて戸惑っているころだと思うわよ」

 いままで、してきたのは改造素材の選抜のための事だった。キョウカは絶望したが自分の身体は自分のモノではなくなっていた。

 「ソウデスカ。コレカラケイヤクシマス。ヨロシクオネガイシマス!」

 「そうこなくっちゃね!」

 そうやってカナエが示した契約書によれば、現役引退まで人間に戻れないとあった。そして報酬の半分は改造された身体の維持費とあった。なんて理不尽な契約なの? そう思ったが意志に反してサインした。その日からキョウカはロボットとして死闘を戦うのであった!

 
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