ゼンタイリスト！ 全身タイツなひとびと

遭遇編！

影人間（１)

　「不思議の国のアリス」のアリスは、ウサギを追いかけた事で異世界に行ってしまったが、ここは21世紀の日本、そんな転生だの召喚などされることは起きるはずなかった。でも最初にその連中を見た時俺は戸惑っていた。

　全身タイツ、略してゼンタイ・・・それが俺が遭遇した連中の正体だった。でも、本当にそいつら人間なのか？　そう思っていた。

　そんな違和感を感じていたが、俺の周辺の誰もが無関心だった。どうしてかなと思っていると、ここは東京の中心地にある繁華街のひとつ。いろんな国籍の人間もいるし、外見が違う人間はいくらでもいた。それにいわゆるコスプレをした連中もいた。だから危険性がなければ気に留めもしなかったのかもしれない。

　その時、目の前にいたのは長身の男性の「ようだった」なぜようだったかって？　そりゃ全身真っ黒だったからだ。それを見てなんかどこかで見たことあるなあと考えていると思い出した者があった。そうだ仮装大賞だ！

　でも仮装大賞の真っ黒な衣装を着ているのは仮装の邪魔にならないようにするものであって、そのように「主役」になるわけはなかった。それにここは繁華街、舞台衣装でなければ着ている意味はないのにである。