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プロローグ:単眼少女の秘密

1.浩美の秘密

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 わたしは河埜浩美。今年の春に四国の田舎町から上京してきたの、そして憧れの東京都民になったの。そのために奨学金をとったり勉強を頑張って来たけど今大変な問題が起きていたの!

 いつものように大学にいったあと、講義が終われば必ずバイト先に行くのが日課になっていたの。そんなの学生なら当たり前って? そうだけど最後まで付き合って。そのバイトが普通じゃないのよ!

 バイト先はレストラン”アウトゾーン・コミックス”といってウエイトレスやウエイターがみんな仮装をしているとの触れ込みのお店なの。その仮装があまりにもアブノーマルとしてネットでも有名なの。

 従業員用の扉から入って専用の個室に入ったの。わたしは店員番号8番なので、八号室に入るの。そこで全て服を脱ぐのよ下着も! そしてこう叫ぶのよ、”リア・チェンジ”と!

 すると私の皮膚がまるで全身タイツのような触感に変化し、顔が大きく変わっていくのよ。わたしの平凡な顔はミルミル大きくなって目は一つだけになって巨大化した単眼が目立つ顔になった。髪の毛も真っ青な色へと変化した。そうなったところでわたしはバイトのためのメイド服を着用し始めた。そんな恰好は田舎にいた時は結構憧れだったけど今は何の気も起きなかった。いまのわたしの正体に戻ったのだから!

 ここまで読んで気付いてくれたと思うけど私の正体は単眼少女なのよ、今は! もちろんこの店に来るまでは人間の少女だったけど、このレストランのオーナーに人体改造されてしまったのよ! 人間の姿の方が今はコスプレなのよ!

 「ヒロミ、あんた可愛いから良いわね」

 そういってドアをノックしたのは店員番号2番のアズサだった、アズサは・・・私よりも化物みたいな姿をしていた。アズサはどっかの野球チームの着ぐるみマスコットみたいな・・・ケモノ娘だったから!

 「アズサ、やらせてよ!」

 そういって、わたしはいつもの日課であるアズサへのスキンシップしはじめた。スキンシップといってもアズサの全身はフモフモだった!

 「そうやって抱きついて! わたしは羊じゃないのよ! まあ気持ちいいから許しちゃうけどね」

 アズサはいわゆるケモノ着ぐるみの姿をしていた。たとえるなら派手な色彩のキツネみたいなものだった。彼女の巨大な尻尾が特にお気に入りだった。そうそうキツネといってもアニメに出てきそうな可愛らしい外観をしていた。彼女もケモノ・キツネが今の正体だった。

 このレストラン”アウトゾーン・コミックス”で人外の恰好をしている従業員は全て改造人間だった。だからわたしはもう人間ではなく人外だったの。
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