【無双】底辺農民学生の頑張り物語【してみた】

一樹

文字の大きさ
119 / 142
死に別れた兄貴が、実は生きてて反社の偉い人やってた件

夏休みにニュース速報で、行方不明となった友人の消息を知った話 後編

しかし、こうして話していても埒が明かない。
一旦、通話を切って俺は今分かってることだけを頼りに、もう一度情報を集めはじめた。
とはいえ、ネットを漁るだけだったが。
しかし、情報統制が敷かれているのか、なにもわからない。
わかっているのは、あの映像の場所が魔界であるということだけだ。
魔王軍に問い合わせるか?
でも、教えてくれる可能性は低い。
なぜなら、俺は魔王候補なだけで、今は魔王軍所属でもなんでもないのだから。
焦りからか、手のひらに滅茶苦茶汗をかいていた。
と、その時、リィエンとの記憶が蘇った。
力を貸してくれる、と彼女は言っていた。
あの日、ヤマトと喧嘩する前。
この手のひらには、たしかに彼女の番号が書かれていた。
登録もしていた。
俺は、すぐに携帯のアドレス帳を開いた。
リィエンの番号を表示させる。
彼女がなにか知っているとは、限らない。
でも、なにもしないよりはいい。
そう考えて、俺は彼女に電話をかけた。

数コールの後、彼女は電話に出てくれた。

『差し入れ魔族君、久しぶりだね。
どうした??』

ニュースのことを知らないのだろう。
リィエンはのんびりと聞いてくる。
携帯の向こう側は、なんだか騒がしかった。

『会長ーー!!
肉焼けますよー!!』

『ドリンク追加買ってきまーす!!』

そんな声が聞こえてくる。
その声にリィエンは、

『すまん、ちょっと席を外す!!』

なんて返した。
移動する足音が聞こえ、喧騒は聞こえなくなった。

『すまん、今日はBBQパーティをやってるんだ。
畑に大量発生したドラゴンを解体できてね。
そうだ!ブラン君もヤマトと一緒にきな!
皆で食べた方が美味いし』

なんて、誘ってくる。
この様子ではリィエンも農業高校の面々も、どうやらニュースのことは知らないのだろう。

「あ、あのっ!」

『……どうした、なんだか泣きそうな声だぞ??』

なんて言おう?
なんて説明しよう??

「じ、実は……」

俺は、説明した。
わけが分からなくなっていないか、それが心配だった。
リィエンは、俺の説明を聞き、都度質問をして今の現状を理解して行った。
そして、

『おやまぁ、そんなことが。
……大人の世界の話だからなぁ、調べようと思わなければ私達の耳にも届かない話だ』

純粋に驚いているようだった。

『でも、大変だったな。
それでも、君は、君たちはヤマトを見捨てても、諦めてもいないのか。
だから、それを理解していたからこそ、ヤマトは君たちに気をつかったんだろう』

リィエンは驚きの後に、そんな言葉をなげかけてくれた。

『私もそうだけど、友達を利用したいなんて思わない。
君は友達だからこそ、ヤマトはなにも話さなかったと思うんだ。
協力関係も利害が一致するからこそ、互いが互いを利用する関係ともいえるからね。
まぁ、農業高校にいるとこれには当てはまらないけれど。
ましてや、君は危険とは無関係な世界の人間だ。
君、悪人とかを殺したことないだろう?』

「…………」

『生き物を殺したことはあっても、人を殺したことはない。
おそらく、見るも無惨な遺体を見たこともないだろう?
話を聞く限り、ヤマトが関わっているのは、巻き込まれているのはそういう世界の話だ。
だから、ヤマトは君達から離れたともとれる』

「そんな気遣いっ」

『嬉しくない?
余計なお世話かな??
それは、その通りだ。
でも、ヤマトにとって君たちのいる世界はそれだけ大切だと思うんだ。
ただただ絵に描いたような普通の、陽光みたいな暖かい、幸せな世界。
そんな世界に、自分のトラブルを持ち込みたくなかった。
それだけだよ』

「でも、俺はっ!!」

『君だって、ヤマトは大切だろう?
そうでなければ、君は、君たちはヤマトのことをこうして聞き回ったりはしないはずだよ。
それとも、君は自分にトラブルが降り掛かった時、ヤマトを当てにして解決しようとするかい??』

言われて、ハッとする。
思い出されるのは、年始でのやりとりだ。

「…………」

『さて、おしゃべりもここまでにしよう。
こちらでも調べられるだけ調べてみるから、少し待っててくれ。
一旦切るよ』

一方的に通話が切られた。
待つこと、数分。
たった数分で、またリィエンから電話がかかってきた。
それに出る。
彼女は簡潔に答えた。

『わかったぞ』

「……早くないっすか??」

俺はつい、そう返してしまう。
彼女はカラカラと、まるで太陽みたいに笑った。

『ブラン君は知らないのか??
田舎では個人情報なんて、ザル過ぎて調べるのは容易なんだよ。
農業ギルドっていう組織自体も、そういうところは踏襲してて、だから問い合わせた。
そこから、この件に関わってる知り合いがいることがわかって。
あ、ちなみに、それはヤマトじゃないぞ?
ウカノ・サートュルヌスって大先輩なんだが。
その先輩の実家に問い合わせたら、この件のことを教えてもらえたんだ』

この件に関わってる人の実家に問い合わせた??
そんで、実家の人は、それ知ってた??
もう、常識が通用しなかった。
アレだけ情報統制されてたのに、こんな簡単にリィエンは今起きていることを調べあげてしまった。

『ブラン君、準備しておけ。
夕方には君を迎えに行く』

「へ?準備??」

『魔界に行くぞ!』

このトラブルを楽しんでいそうな、リィエンの声が耳に叩きつけられた。
感想 13

あなたにおすすめの小説

【流血】とある冒険者ギルドの会議がカオスだった件【沙汰】

一樹
ファンタジー
とある冒険者ギルド。 その建物内にある一室、【会議室】にてとある話し合いが行われた。 それは、とある人物を役立たずだからと追放したい者達と、当該人物達との話し合いの場だった。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

【実家が】一家離散するかもしれん【修羅場】

一樹
大衆娯楽
家の揉め事をスレ立てして愚痴る話です。

WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!

TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。 その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。 競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。 俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。 その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。 意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。 相変わらずの豪華客船の中だった。 しかし、そこは地球では無かった。 魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。 船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。 ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ…… 果たして、地球と東の運命はどうなるの?

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?