【教えて】聖杯を探しています【ください】

一樹

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血まみれゲーム

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宿を出る。
そこからは、裏路地を使って移動した。
姿が見えないように、ミカリが魔法を施していたらしいが、念の為ということらしい。
そして、【イモータル山】を目指している途中でのことだ。
なにやら、表通りが騒がしいことに気づいた。
ウェイチが確認に行ってくれた。
やがて戻ってきたウェイチは、険しい顔をしていた。

「なにがあった?」

オルの問いに、ウェイチは答える。

「どうも、大神殿の神官が不審死しているのが見つかったらしい」

「不審死?」

オルが聞き返した。

「そう、それも最初の鍵があった、あの竹林でだ」

ウェイチが言いつつ、僕を見てきた。
オルとミカリも、僕を見てくる。
すぐに頭に浮かんだのは、盗まれた手帳とアンジュだ。
それはオル達も同じだったらしい。
オルが怖い顔をして、僕に言ってきた。

「お前、手帳に書いたのはデタラメじゃなかったのか?」

「デタラメですよ!!」

僕は、説明した。
あの偽物の手帳に書いておいたのは、間違った答え。
間違った、ヒントだ。
それも、ほとんど考察厨さん達に指示された通りに書いた。

「もしかして、謎の答えを間違ったから死んだ、とか?」

ミカリが呟いた。
しかし、それを他ならない僕自身が否定する。

「その可能性は、低いと思います。
聖杯探しが始まって千年。
この千年の間に、どこそこに鍵がある、という噂自体は何度も流れてます。
その度に、その間違った場所を探した人はいました。
でも、不審死しただなんて話聞いたことないです」

無論、その真相が闇に葬られていればわからないが。

「それじゃ、何かをミスったとかか?
あるいは、仲間割れがあったか」

ウェイチがそんなことを口にした時だった。
またも、表通りがザワついた。
今度は、人が叫んでいた。
またも竹林で死体が見つかったらしい。
今度は、冒険者達だという。
情報が錯綜しているらしく、とある有名なクランが全滅したとか騒いでいるのが聞こえてきた。
それも、この数日で耳にしていたよく知っているクランだ。
【夢幻剣士】と【聖騎士同盟】だ。

「なにが、起こってるんだ??」

クラン名を聞いて、オルがそう呟いた。

「……もしかしたら、館長さんなら」

僕の脳裏に、この聖杯探しゲームの運営だと思われる女性の顔が浮かんだ。
そして、気づいたらそう呟いていた。
三人の視線が僕に注がれる。
僕は、イモータル山に向かう前に記念館に寄ることを提案してみた。
もしかしたら、この騒動について把握しているかもしれないからだ。
三人は、この寄り道を了承してくれた。

記念館には、珍しく人が入っているようだった。
魔法で姿を消したままではあったけど、僕はいつものように記念館に足を踏み入れた。
ほかの3人が、僕に続く。

そんな僕たちを、待ち構えていたのか。
館長さんが出迎えてくれた。

「いらっしゃい」

いつもの笑顔で。
いつもの声音で。
優しく、館長さんが出迎えてくれた。

「頑張ってるわね。
もう後ちょっとで、夢を掴むってところかしら?」

言いつつ、館長さんは僕と、驚いているオル達を見た。

「友達もたくさん出来たみたいね」

そんなことを言う。
優しく、言う。

「魔法が解けてる」

背後から、ミカリが呟いたのが聞こえた。
館長が、微笑んでそれに答える。

「ここは、そういうのは無効になるの。
勝手に資料を持ち出されても困るから」

そんな館長さんの前に、オルが立った。
その姿は、元の魔族の姿に戻っていた。
しかし、他の利用者は誰も気に止めていないようだ。

「聞きたいことがある」

オルは、表通りの騒ぎについて館長さんに問いただした。
館長さんは、丁寧に答えてくれた。

なんでも、大神殿側は僕の手帳を奪って、すぐに囲っていた勇者研究者たちに手帳の内容を調べさせたらしい。
結果、書いていた内容は嘘だと見抜かれてしまった。
しかし、それがヒントになり竹林が答えだとわかったらしい。
けれど、その後が問題だった。

「このゲームはね、然るべき手順を踏まないと罰を受けることになるの。
たぶん、それに引っかかったんだと思うわ」

然るべき手順??

「まず、自力である程度謎を解いていること。
これなら、きっとなにも起こらなかった。
けれど、最初の謎を【ある程度】すら解けていない状態で、貴方の手帳を奪った。
それをヒントに、謎を解いたからペナルティを与えられた」

「え、でもそれなら、なんでオル達は無事なんですか??」

「それは、貴方が導いたから。
【スレ民】のギフト保持者が、自分で決めて答えを教え、導いた者は仲間としてカウントされるの。
だから、ペナルティの対象にはならない」

最初の鍵を手に入れた時の、勇者の言葉が蘇る。

――仲間たちとともに、楽しんでくれたまえ!!――

あの時、僕は独りだった。
独りで鍵を見つけた。
その後、行動を共にすることとなったオル達を連れてきた。
僕が、連れていった。

千年、誰も解けなかった謎。
最初の謎。
千年前なら、解いた人がいても不思議じゃない、謎。
でも解けていたとしても、裏で殺し合いが、潰し合いがされていた。
だから、途中で消えた??
答えが闇に葬られた??

「ペナルティ、ねぇ?
なぁ、館長さん?
なんでそんなものが、このゲームにあるんだ??」

オルが、きいた。
どこか答えに確信があるような聞き方だった。

館長さんは、悲しそうに僕を見た。
そして、言うか、言うまいか迷っているようにも見えた。
でも、話してくれた。

「世界を手にする。
言い換えれば、神様にも等しい力を手に入れられるゲームが、血に塗れない、ただの楽しいゲームになると、本当に思ってる??」

オルは、首を振った。

「つまり、そういうことよ。
本当は、あなたは薄々勘づいているんじゃないの?
なぜ、勇者がこんなゲームを仕掛けたのか??」

館長さんの言葉に、オルは答えなかった。
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