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所謂、報告スレが立ったのは騒動から半年ほど経過した頃のことだ。
そこで色々な事後報告がなされた。
スレッドの最後に、コテハン名冒険者が明日は唯一残った女神の葬式をすると伝えて終わった。
なにしろ、冒険者パーティの者達が精神に異常をきたし仲間の一人が次々に同じ仲間を襲って殺したのだ。
しかし、遺体は犯人のものしか残らず、生き残った者も捜査関係者に事件の究明のためすべてを正直に話したが取り合ってもらえなかったのだ。
この事件の重要参考人の一人として、とある神殿で雑用をしていた成人男性も聴取に呼ばれたが、すぐに圧力がかかり捜査は打ち切られた。
生き残った者も、重要参考人だった雑用係りも捜査が打ち切られると同時に捜査機関に収容されていた、犯人とされている少女の遺体を引き取って埋葬した。
たまにあるのか、女神の遺体は全く腐っていなかったが関係者達は驚いていなかった。
ここでは火葬ではなく土葬が主流であったので、棺を用意してもらい腐敗以外の様々な意味で損傷が激しかった遺体を納めた。
雑用係りが世話になっている神殿側が何か言ってくるかと思ったが、意外と何も言われなかった。
「ムエンボトケ、と言われる方々のためにここは造られた、という伝説がありまして」
そう説明してくれたのは、雑用係りの上司らしき神官だった。
この神殿の歴史はとても古いらしい。
それこそ伝説として話が言い伝えられているくらいには古い。
ようは身内もなく供養もされない者達をこうして手厚く葬り、その墓の管理もしているのだとか。
「訳ありの者も、犯罪をおかしたものも、ここでは全て平等に葬り供養します。
彼の仕事にはここの管理も入っているんですよ」
そう言って、見習い神官達とともに掘った穴に棺を納めている雑用係りを、生き残った男はみた。
ちなみに、この棺は生き残った男が作った物だ。
中に納められている彼女をイメージして、そしてデザインを少しだけ彼女の好きだった花柄にして。
墓石にも、彼女が好きだった華を描いた。
棺の中には、生き残った者の自己満足ではあるが子供が好きそうな縫いぐるみや人形を入れてある。
魂を喰われた彼女を供養する。
そんなことに意味があるのか、彼にはわからなかった。
慰めるべき魂はどこにもないのに。
「ん?」
穴に棺を納めて、土をかけていると雑用係りが不思議そうに呟いた。
しかし、誰も気に止めなかった。
やがて、全てが土の下に埋まって見えなくなった。
神官達が祈りを捧げて、葬式は終了した。
それから数日後。
花と、彼女が好きだった菓子、そして子供が好きそうなジュースを供えようと彼は墓に訪れた。
雑用係りの姿はなく、供物をおいて手をあわせ祈り始めた時。
ーーぉぎゃぁ
小さく、赤ん坊の鳴き声が聞こえたのだ。
それは産声だと、なぜか彼は思った。
途端、目の前の土が盛り上がり、小さな紅葉のような手が墓石の前に生えた。
そして、今度はしっかりと、赤ん坊の泣き声が聴こえてきたのだった。
そこで色々な事後報告がなされた。
スレッドの最後に、コテハン名冒険者が明日は唯一残った女神の葬式をすると伝えて終わった。
なにしろ、冒険者パーティの者達が精神に異常をきたし仲間の一人が次々に同じ仲間を襲って殺したのだ。
しかし、遺体は犯人のものしか残らず、生き残った者も捜査関係者に事件の究明のためすべてを正直に話したが取り合ってもらえなかったのだ。
この事件の重要参考人の一人として、とある神殿で雑用をしていた成人男性も聴取に呼ばれたが、すぐに圧力がかかり捜査は打ち切られた。
生き残った者も、重要参考人だった雑用係りも捜査が打ち切られると同時に捜査機関に収容されていた、犯人とされている少女の遺体を引き取って埋葬した。
たまにあるのか、女神の遺体は全く腐っていなかったが関係者達は驚いていなかった。
ここでは火葬ではなく土葬が主流であったので、棺を用意してもらい腐敗以外の様々な意味で損傷が激しかった遺体を納めた。
雑用係りが世話になっている神殿側が何か言ってくるかと思ったが、意外と何も言われなかった。
「ムエンボトケ、と言われる方々のためにここは造られた、という伝説がありまして」
そう説明してくれたのは、雑用係りの上司らしき神官だった。
この神殿の歴史はとても古いらしい。
それこそ伝説として話が言い伝えられているくらいには古い。
ようは身内もなく供養もされない者達をこうして手厚く葬り、その墓の管理もしているのだとか。
「訳ありの者も、犯罪をおかしたものも、ここでは全て平等に葬り供養します。
彼の仕事にはここの管理も入っているんですよ」
そう言って、見習い神官達とともに掘った穴に棺を納めている雑用係りを、生き残った男はみた。
ちなみに、この棺は生き残った男が作った物だ。
中に納められている彼女をイメージして、そしてデザインを少しだけ彼女の好きだった花柄にして。
墓石にも、彼女が好きだった華を描いた。
棺の中には、生き残った者の自己満足ではあるが子供が好きそうな縫いぐるみや人形を入れてある。
魂を喰われた彼女を供養する。
そんなことに意味があるのか、彼にはわからなかった。
慰めるべき魂はどこにもないのに。
「ん?」
穴に棺を納めて、土をかけていると雑用係りが不思議そうに呟いた。
しかし、誰も気に止めなかった。
やがて、全てが土の下に埋まって見えなくなった。
神官達が祈りを捧げて、葬式は終了した。
それから数日後。
花と、彼女が好きだった菓子、そして子供が好きそうなジュースを供えようと彼は墓に訪れた。
雑用係りの姿はなく、供物をおいて手をあわせ祈り始めた時。
ーーぉぎゃぁ
小さく、赤ん坊の鳴き声が聞こえたのだ。
それは産声だと、なぜか彼は思った。
途端、目の前の土が盛り上がり、小さな紅葉のような手が墓石の前に生えた。
そして、今度はしっかりと、赤ん坊の泣き声が聴こえてきたのだった。
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