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「おい、このグズっ!」
そう怒鳴られる。
次の瞬間には、蹴飛ばされてしまった。
「がっはっ」
「お前がさっさと傷を治さないから、置いてけぼりくらっただろ!!
俺を約立たずにしやがって!!」
また蹴られる。
鳩尾に、綺麗にその蹴りが入り、蹴られていた少年は胃の中のものをぶちまけてしまう。
「うわ、きったねぇ」
「ほどほどにしとけよ。そんなグズで約立たずな奴でも一応回復役なんだからな」
最初は荷物持ちとか雑用のために雇った少年に、とても珍しい治癒能力があると知ってから、この冒険者パーティの面々はその扱い方を変えた。
絶対逃してはならない、と暴力と恐怖で少年を支配したのだ。
以来、ずっとこうして死なない、逃げない程度の、そしてパーティの面々のストレス解消のために少年は暴力を受ける日々が続いていた。
そもそも、逃げようにも少年ーーシンには家族はいない。
父は彼が産まれる前に他界し、母も一人息子を育てるためにと頑張りすぎて二年前にこの世を去った。
親戚もなく天涯孤独となったシンは、生きるために働いてきた。
彼一人分の生活費を稼ぐために割りの良い仕事はいくつかあったが、孤児と言うこともあり紹介されたのは、所謂冒険者などの荒くれ者達の雑用などだった。
その日のパンに困り、所謂ブラックパーティと呼ばれるパーティの雑用係に応募したのが運の尽きで、奴隷や馬車馬のほうが扱いが良いだろうという待遇を受けることになった。
さらに、シンに治癒能力、一部ではギフトだとかスキルだとか言われている能力があることがわかると、先述したように暴力でもって彼の心は折られ、支配されてしまった。
このままここで終わるんだろうか。
そうなって欲しいと思う。
終わりを夢見てしまう。
痛みすら麻痺して、もう一日でも良いからこんな生き地獄が早く終わることを夢見る。
でも、それは叶わない。
とくにやりたいことがあるわけじゃない。
生に執着しているわけでもない。
ただ、どういうわけか
この体はどんなに傷ついても、死なないのだ。
自殺すら出来ない。
そう聞くと、特別な加護を受けたのか、と何も知らない人なら思うだろう。
しかし、そんな加護を受けたわけではない。
シンに暴力を振るう者達は、彼が自分で自分の傷を癒しているのだと考えているが、違う。
シンの能力は他人にしか効かない。
自分自身の傷を癒すことは出来ないのだ。
にも関わらず、どんなにひどい暴力をふるわれて、骨を折るような大怪我をしても、翌日には治っている。
それが異常だということを、シンは十分に理解していた。
だから、治癒能力のせいにしておいた。
現状が、ただでさえこんななのに。
これ以上の面倒事はゴメンだった。
そして、そんな日々が日常と化したある日。
「は?」
「もう、お前はいらねーよ。使えねーし。
それより、新しい回復術士見つけたからな」
解雇を言い渡されてしまった。
新人を入れることになったから、今すぐパーティから出ていけと言われる。
逆らったところで殴られるのは目に見えてるので、大人しく荷物を纏めようと、シンは準備を始めたのだが。
背後から頭を鈍器で殴られた。
そのまま、シンは気絶して。
やがて目覚めた時、彼はたった一人捨て置かれていた。
持っていた最低限の金銭すら無くなっている。
「…………なんで」
ようやっと、出た声はそんな言葉を紡ぐ。
なんで、どうして死ねないのだ。
どうして、母の元に行けないのだ。
もう嫌だ。
もう、嫌だ。
誰かに殴られるのも、理由もなく嫌われるのも、ずっと苦しいのも。
何もかもが、そう生きていること、それ自体が嫌だ。
あのまま、目覚めなかったら良かったのに、と思う。
仰向けになる。
木々の間から、憎らしいほど綺麗な満月が昇ってるのが見えた。
体を起こす。
少し軋んだが、それでも動いた。
やはり、死んでいない。
生きている。
生きている、のに、その事実がとても辛い。
苦しい。
何もしていないのに、傷が治る。
治ってしまう。
こんなの、人間じゃない。
化け物だ。
こんな目にあったけれど、ホッとしているのは自分が化け物であることを隠しとおせたことだろうか。
少なくとも、人として置き去りにされたのだ。
あぁ、でもこの場所なら。
この、魔物討伐のために訪れたこの、森なら。
肉食の魔物に食べられるかもしれない。
それなら、その方がいい。
さすがに食べられたなら、もう傷が治ることもなく、そして何より人として食べられて死ぬのなら、一番の幸福かもしれない。
なにかの血肉になる。
それは、ただ惰性で生きている今より、生きていることになる。
そんな気がするのだ。
しばらく、そうやって仰向けのままぼんやりと月を見ていると、パタタ、と雫がシンの頬を濡らした。
雨かと思ったが違った。
月はその位置を少し変えただけで、夜空は晴れている。
夜露というやつだろうか?
その雫に触れてみる。
指で救う様に触れてみる。
湿った指を月光に翳す。
すると、それは赤かった。
「え、血?」
シンの知る赤い液体はそれくらいだった。
呟いた直後。
枝の折れる音が重なってシンの耳に届く。
そして、鈍い。なにかが落ちる音。
そちらを見る。
シンの視線の先。
そこには、人が倒れていた。
淡い月光に照らされて、束ねられた銀色の長髪が見えた。
「ひと?!」
シンはすぐに駆け寄る。
元からお人好しの性格なため、声をかけた。
「だ、大丈夫ですか?
しっかりしてください。俺の声、聴こえてますか?」
声をかけながら、シンは倒れている人物の状態を確認する。
と、たまたま触れた背中がヌルり、と濡れていることに気づく。
血だった。
咄嗟に怪我の場所を確認する。
と、その時、うっすらとその人物の瞼が開いてシンを捉えた。
真っ赤だった。
(吸血鬼だ)
亜人種族の中でも魔族に次ぐ力を持った種族、それが吸血鬼だ。
その吸血鬼の青年は、何かを言おうとしたのか口が開く、が。
すぐに気絶してしまった。
青年の体は、ちょうど心臓から背中にかけて穴が開いていた。
魔族と交戦でもしたのだろうか?
シンには分からなかった。
でも、その青年の状態を見て、シンはある考えが過ぎり、ゴクリ、と喉を鳴らした。
これだけの大怪我だ。
もしも、この怪我をいつもの様に治したのなら、今度こそ死ねるかもしれない。
そんな考えが過ぎる。
「ごめんなさい」
見ず知らずの青年を利用することに決めたシンは、そう一言だけ謝った。
シンの治癒能力は、他人の怪我を自分に移すものだ。
他人のダメージを引き受ける。
そのため、他人は元通りになるがシンはその怪我を引き受けることになる。
痛みには慣れている。
だから、躊躇いはなかった。
あるとするなら、それは利用することへの躊躇いだけだった。
「でも、ありがとうございます」
これこそ居るかどうかもわからない、神という存在の気まぐれの導きかもしれない。
シンはそんな風に考えながら、青年の穴の開いた胸に触れた。
そして、祈る。
語りかける。
こっちにこい、と。
それだけ。
それだけだった。
たったそれだけで、お手軽に傷が治るのだ。
やがて、シンの体を激痛が襲う。
意識が飛ぶ。
痛みはあるけれど、これは嬉しい痛みだ。
幸福の痛みだ。
その痛みを噛み締めて、幸福で、とても満ち足りたシンは、笑った。
意識が遠のいて、闇に落ちていく感覚すら嬉しい。
やっと終われるのだ。
それがたまらなく嬉しくて、幸福だった。
それに、吸血鬼は人間に興味を示さない。
下等で矮小な存在の人間であるシンの死体は、捨て置かれ、やがて自然に帰っていくだろう。
ここで、誰かの糧になって終われるのだ。
馬鹿と言われようと、どんな罵りを受けようと、それは彼だけの幸福だった。
だから、今まで以上に笑った。
シンは幸福に微笑んだ。
そう怒鳴られる。
次の瞬間には、蹴飛ばされてしまった。
「がっはっ」
「お前がさっさと傷を治さないから、置いてけぼりくらっただろ!!
俺を約立たずにしやがって!!」
また蹴られる。
鳩尾に、綺麗にその蹴りが入り、蹴られていた少年は胃の中のものをぶちまけてしまう。
「うわ、きったねぇ」
「ほどほどにしとけよ。そんなグズで約立たずな奴でも一応回復役なんだからな」
最初は荷物持ちとか雑用のために雇った少年に、とても珍しい治癒能力があると知ってから、この冒険者パーティの面々はその扱い方を変えた。
絶対逃してはならない、と暴力と恐怖で少年を支配したのだ。
以来、ずっとこうして死なない、逃げない程度の、そしてパーティの面々のストレス解消のために少年は暴力を受ける日々が続いていた。
そもそも、逃げようにも少年ーーシンには家族はいない。
父は彼が産まれる前に他界し、母も一人息子を育てるためにと頑張りすぎて二年前にこの世を去った。
親戚もなく天涯孤独となったシンは、生きるために働いてきた。
彼一人分の生活費を稼ぐために割りの良い仕事はいくつかあったが、孤児と言うこともあり紹介されたのは、所謂冒険者などの荒くれ者達の雑用などだった。
その日のパンに困り、所謂ブラックパーティと呼ばれるパーティの雑用係に応募したのが運の尽きで、奴隷や馬車馬のほうが扱いが良いだろうという待遇を受けることになった。
さらに、シンに治癒能力、一部ではギフトだとかスキルだとか言われている能力があることがわかると、先述したように暴力でもって彼の心は折られ、支配されてしまった。
このままここで終わるんだろうか。
そうなって欲しいと思う。
終わりを夢見てしまう。
痛みすら麻痺して、もう一日でも良いからこんな生き地獄が早く終わることを夢見る。
でも、それは叶わない。
とくにやりたいことがあるわけじゃない。
生に執着しているわけでもない。
ただ、どういうわけか
この体はどんなに傷ついても、死なないのだ。
自殺すら出来ない。
そう聞くと、特別な加護を受けたのか、と何も知らない人なら思うだろう。
しかし、そんな加護を受けたわけではない。
シンに暴力を振るう者達は、彼が自分で自分の傷を癒しているのだと考えているが、違う。
シンの能力は他人にしか効かない。
自分自身の傷を癒すことは出来ないのだ。
にも関わらず、どんなにひどい暴力をふるわれて、骨を折るような大怪我をしても、翌日には治っている。
それが異常だということを、シンは十分に理解していた。
だから、治癒能力のせいにしておいた。
現状が、ただでさえこんななのに。
これ以上の面倒事はゴメンだった。
そして、そんな日々が日常と化したある日。
「は?」
「もう、お前はいらねーよ。使えねーし。
それより、新しい回復術士見つけたからな」
解雇を言い渡されてしまった。
新人を入れることになったから、今すぐパーティから出ていけと言われる。
逆らったところで殴られるのは目に見えてるので、大人しく荷物を纏めようと、シンは準備を始めたのだが。
背後から頭を鈍器で殴られた。
そのまま、シンは気絶して。
やがて目覚めた時、彼はたった一人捨て置かれていた。
持っていた最低限の金銭すら無くなっている。
「…………なんで」
ようやっと、出た声はそんな言葉を紡ぐ。
なんで、どうして死ねないのだ。
どうして、母の元に行けないのだ。
もう嫌だ。
もう、嫌だ。
誰かに殴られるのも、理由もなく嫌われるのも、ずっと苦しいのも。
何もかもが、そう生きていること、それ自体が嫌だ。
あのまま、目覚めなかったら良かったのに、と思う。
仰向けになる。
木々の間から、憎らしいほど綺麗な満月が昇ってるのが見えた。
体を起こす。
少し軋んだが、それでも動いた。
やはり、死んでいない。
生きている。
生きている、のに、その事実がとても辛い。
苦しい。
何もしていないのに、傷が治る。
治ってしまう。
こんなの、人間じゃない。
化け物だ。
こんな目にあったけれど、ホッとしているのは自分が化け物であることを隠しとおせたことだろうか。
少なくとも、人として置き去りにされたのだ。
あぁ、でもこの場所なら。
この、魔物討伐のために訪れたこの、森なら。
肉食の魔物に食べられるかもしれない。
それなら、その方がいい。
さすがに食べられたなら、もう傷が治ることもなく、そして何より人として食べられて死ぬのなら、一番の幸福かもしれない。
なにかの血肉になる。
それは、ただ惰性で生きている今より、生きていることになる。
そんな気がするのだ。
しばらく、そうやって仰向けのままぼんやりと月を見ていると、パタタ、と雫がシンの頬を濡らした。
雨かと思ったが違った。
月はその位置を少し変えただけで、夜空は晴れている。
夜露というやつだろうか?
その雫に触れてみる。
指で救う様に触れてみる。
湿った指を月光に翳す。
すると、それは赤かった。
「え、血?」
シンの知る赤い液体はそれくらいだった。
呟いた直後。
枝の折れる音が重なってシンの耳に届く。
そして、鈍い。なにかが落ちる音。
そちらを見る。
シンの視線の先。
そこには、人が倒れていた。
淡い月光に照らされて、束ねられた銀色の長髪が見えた。
「ひと?!」
シンはすぐに駆け寄る。
元からお人好しの性格なため、声をかけた。
「だ、大丈夫ですか?
しっかりしてください。俺の声、聴こえてますか?」
声をかけながら、シンは倒れている人物の状態を確認する。
と、たまたま触れた背中がヌルり、と濡れていることに気づく。
血だった。
咄嗟に怪我の場所を確認する。
と、その時、うっすらとその人物の瞼が開いてシンを捉えた。
真っ赤だった。
(吸血鬼だ)
亜人種族の中でも魔族に次ぐ力を持った種族、それが吸血鬼だ。
その吸血鬼の青年は、何かを言おうとしたのか口が開く、が。
すぐに気絶してしまった。
青年の体は、ちょうど心臓から背中にかけて穴が開いていた。
魔族と交戦でもしたのだろうか?
シンには分からなかった。
でも、その青年の状態を見て、シンはある考えが過ぎり、ゴクリ、と喉を鳴らした。
これだけの大怪我だ。
もしも、この怪我をいつもの様に治したのなら、今度こそ死ねるかもしれない。
そんな考えが過ぎる。
「ごめんなさい」
見ず知らずの青年を利用することに決めたシンは、そう一言だけ謝った。
シンの治癒能力は、他人の怪我を自分に移すものだ。
他人のダメージを引き受ける。
そのため、他人は元通りになるがシンはその怪我を引き受けることになる。
痛みには慣れている。
だから、躊躇いはなかった。
あるとするなら、それは利用することへの躊躇いだけだった。
「でも、ありがとうございます」
これこそ居るかどうかもわからない、神という存在の気まぐれの導きかもしれない。
シンはそんな風に考えながら、青年の穴の開いた胸に触れた。
そして、祈る。
語りかける。
こっちにこい、と。
それだけ。
それだけだった。
たったそれだけで、お手軽に傷が治るのだ。
やがて、シンの体を激痛が襲う。
意識が飛ぶ。
痛みはあるけれど、これは嬉しい痛みだ。
幸福の痛みだ。
その痛みを噛み締めて、幸福で、とても満ち足りたシンは、笑った。
意識が遠のいて、闇に落ちていく感覚すら嬉しい。
やっと終われるのだ。
それがたまらなく嬉しくて、幸福だった。
それに、吸血鬼は人間に興味を示さない。
下等で矮小な存在の人間であるシンの死体は、捨て置かれ、やがて自然に帰っていくだろう。
ここで、誰かの糧になって終われるのだ。
馬鹿と言われようと、どんな罵りを受けようと、それは彼だけの幸福だった。
だから、今まで以上に笑った。
シンは幸福に微笑んだ。
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