67 / 229
4章 我が女神、それは
我が神は此処にありて
しおりを挟む
どうにかこうにか妹の機嫌を直し、進行が再開する。
コメント欄には女心わからないやつみたいな俺を揶揄するコメントで溢れていた。中には「髪色同じだから本物の兄妹みたい」と設定上の兄妹と考えてる人もいるようだった。実際、血のつながりはないからあながち間違いではないのだが、妹はこれに「本物の兄妹だし!」と躍起になって反論していた。
妹がリスナーとわちゃわちゃやっている横で改めて新しくなった自分の姿を見る。
いけすかないイケメンのような見た目であった。ある意味ではアンチ大量にいる俺らしい姿とも言える。その分、量産型使いの名の下に集まった信者はいたのだが、この姿になったことでいなくなってしまうだろう。今もコメントとコメントの間に挟まって阿鼻叫喚が流れていた。
シオミンにいい格好見てもらうためならば必要な犠牲である。
「さて、お披露目自体はこんなもんでいっか」
始まってまだ三十分しか経っていないのに妹はそういった。そのほとんどは妹の機嫌直しの時間だったので、まだほとんど何もやっていないに等しいのに大丈夫だろうか。
そう思っていると妹は俺の肩に手を置く。
「実はにーちゃんに喜んで欲しくてあること用意してたんだよね」
にひひと口角をあげる妹に碌でもないことを考えているのではないかという恐怖を覚える。
玉露の時然り妹が俺を喜ばせたい時は大体ありがた迷惑に終わることが多いのだ。
「ではでは~そこに立っててくださいな~」
部屋の真ん中に誘導される。
「では! 入ってきてください!」
カメラに向かって合図を送る妹。俺と同じように外で待機している人に向けたものだろう。
目の前に円柱上に並ぶ光の輪が現れる。それは誰かが部屋に入る時に現れるエフェクトだった。
現れたのは金髪サイドテールの白ギャル。
その姿には見覚えがあった。見覚えしかなかった。
汐見柚子である。
シオミンである。
俺が敬愛してやまないお方である。
この世で最も美しく、可愛い、それでいて愛嬌もあれば、確かな歌唱力にダンスも堪能。神が気まぐれに完璧な存在を作ったとするならばそれは彼女である。
「カラードロップ所属バーチャルライバーの汐見柚子です。よろしくね!」
いつもの挨拶。それが俺に対して送られる。
「お兄さんってば汐見のファンなんだってね。マイマイともども仲良くしてね!」
さらにそう声をかけられてしまった日には俺の平常心なんてどこかへ吹き飛んでしまう。
「こちらこそよろしく」なんてカッコつけて言いたかったが、俺にとっての神を前にそんな取り繕う真似なんてできるわけなく「はわわ」なんて擬音が似合うぐらいにきょどっていた。神は全てを見通すというが、神の前で隠し事ができなくなるだけだろう。
「そのアバターカッコいいね。あたしもマイマイにプライベート用作ってもらいたいなぁ」
あまりに何も言えなくなっている俺を気遣って話を振ってくれる。
「舞香、汐見さんの頼みだ。作ってあげなさい」
妹は笑顔で俺の背後に回ると、思いっきり俺のケツにタイキックを叩き込む。
痛みこそなかったが衝撃はあり、前のめりに転んでしまう。
「にーちゃん、嬉しいのはわかるけどはしゃぎすぎ。というか私のお手製アバター見た時よりも喜ぶな……ばか……」
新しいアバターのせいでいつもよりも小さく見える妹に、どこに行くにも俺の影に隠れていた頃を思い出す。
「悪い」
思い出したがゆえ昔のように頭を撫でてしまった。
妹はその手を振り払い、シオミンの影に隠れて猫のようにシャーっと威嚇してくる。
その顔は熱を帯びているように見えた。
コメント欄には女心わからないやつみたいな俺を揶揄するコメントで溢れていた。中には「髪色同じだから本物の兄妹みたい」と設定上の兄妹と考えてる人もいるようだった。実際、血のつながりはないからあながち間違いではないのだが、妹はこれに「本物の兄妹だし!」と躍起になって反論していた。
妹がリスナーとわちゃわちゃやっている横で改めて新しくなった自分の姿を見る。
いけすかないイケメンのような見た目であった。ある意味ではアンチ大量にいる俺らしい姿とも言える。その分、量産型使いの名の下に集まった信者はいたのだが、この姿になったことでいなくなってしまうだろう。今もコメントとコメントの間に挟まって阿鼻叫喚が流れていた。
シオミンにいい格好見てもらうためならば必要な犠牲である。
「さて、お披露目自体はこんなもんでいっか」
始まってまだ三十分しか経っていないのに妹はそういった。そのほとんどは妹の機嫌直しの時間だったので、まだほとんど何もやっていないに等しいのに大丈夫だろうか。
そう思っていると妹は俺の肩に手を置く。
「実はにーちゃんに喜んで欲しくてあること用意してたんだよね」
にひひと口角をあげる妹に碌でもないことを考えているのではないかという恐怖を覚える。
玉露の時然り妹が俺を喜ばせたい時は大体ありがた迷惑に終わることが多いのだ。
「ではでは~そこに立っててくださいな~」
部屋の真ん中に誘導される。
「では! 入ってきてください!」
カメラに向かって合図を送る妹。俺と同じように外で待機している人に向けたものだろう。
目の前に円柱上に並ぶ光の輪が現れる。それは誰かが部屋に入る時に現れるエフェクトだった。
現れたのは金髪サイドテールの白ギャル。
その姿には見覚えがあった。見覚えしかなかった。
汐見柚子である。
シオミンである。
俺が敬愛してやまないお方である。
この世で最も美しく、可愛い、それでいて愛嬌もあれば、確かな歌唱力にダンスも堪能。神が気まぐれに完璧な存在を作ったとするならばそれは彼女である。
「カラードロップ所属バーチャルライバーの汐見柚子です。よろしくね!」
いつもの挨拶。それが俺に対して送られる。
「お兄さんってば汐見のファンなんだってね。マイマイともども仲良くしてね!」
さらにそう声をかけられてしまった日には俺の平常心なんてどこかへ吹き飛んでしまう。
「こちらこそよろしく」なんてカッコつけて言いたかったが、俺にとっての神を前にそんな取り繕う真似なんてできるわけなく「はわわ」なんて擬音が似合うぐらいにきょどっていた。神は全てを見通すというが、神の前で隠し事ができなくなるだけだろう。
「そのアバターカッコいいね。あたしもマイマイにプライベート用作ってもらいたいなぁ」
あまりに何も言えなくなっている俺を気遣って話を振ってくれる。
「舞香、汐見さんの頼みだ。作ってあげなさい」
妹は笑顔で俺の背後に回ると、思いっきり俺のケツにタイキックを叩き込む。
痛みこそなかったが衝撃はあり、前のめりに転んでしまう。
「にーちゃん、嬉しいのはわかるけどはしゃぎすぎ。というか私のお手製アバター見た時よりも喜ぶな……ばか……」
新しいアバターのせいでいつもよりも小さく見える妹に、どこに行くにも俺の影に隠れていた頃を思い出す。
「悪い」
思い出したがゆえ昔のように頭を撫でてしまった。
妹はその手を振り払い、シオミンの影に隠れて猫のようにシャーっと威嚇してくる。
その顔は熱を帯びているように見えた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます
内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」
――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。
カクヨムにて先行連載中です!
(https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)
異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。
残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。
一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。
そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。
そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。
異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。
やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。
さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。
そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~
名無し
ファンタジー
主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
異世界で美少女『攻略』スキルでハーレム目指します。嫁のために命懸けてたらいつの間にか最強に!?雷撃魔法と聖剣で俺TUEEEもできて最高です。
真心糸
ファンタジー
☆カクヨムにて、200万PV、ブクマ6500達成!☆
【あらすじ】
どこにでもいるサラリーマンの主人公は、突如光り出した自宅のPCから異世界に転生することになる。
神様は言った。
「あなたはこれから別の世界に転生します。キャラクター設定を行ってください」
現世になんの未練もない主人公は、その状況をすんなり受け入れ、神様らしき人物の指示に従うことにした。
神様曰く、好きな外見を設定して、有効なポイントの範囲内でチートスキルを授けてくれるとのことだ。
それはいい。じゃあ、理想のイケメンになって、美少女ハーレムが作れるようなスキルを取得しよう。
あと、できれば俺TUEEEもしたいなぁ。
そう考えた主人公は、欲望のままにキャラ設定を行った。
そして彼は、剣と魔法がある異世界に「ライ・ミカヅチ」として転生することになる。
ライが取得したチートスキルのうち、最も興味深いのは『攻略』というスキルだ。
この攻略スキルは、好みの美少女を全世界から検索できるのはもちろんのこと、その子の好感度が上がるようなイベントを予見してアドバイスまでしてくれるという優れモノらしい。
さっそく攻略スキルを使ってみると、前世では見たことないような美少女に出会うことができ、このタイミングでこんなセリフを囁くと好感度が上がるよ、なんてアドバイスまでしてくれた。
そして、その通りに行動すると、めちゃくちゃモテたのだ。
チートスキルの効果を実感したライは、冒険者となって俺TUEEEを楽しみながら、理想のハーレムを作ることを人生の目標に決める。
しかし、出会う美少女たちは皆、なにかしらの逆境に苦しんでいて、ライはそんな彼女たちに全力で救いの手を差し伸べる。
もちろん、攻略スキルを使って。
もちろん、救ったあとはハーレムに入ってもらう。
下心全開なのに、正義感があって、熱い心を持つ男ライ・ミカヅチ。
これは、そんな主人公が、異世界を全力で生き抜き、たくさんの美少女を助ける物語。
【他サイトでの掲載状況】
本作は、カクヨム様、小説家になろう様でも掲載しています。
ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる