ほんわか騎士団首都日誌 ~無自覚美少年と筋肉幼馴染のすれ違いな日常~

kei

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騎士団員たちの騒がしい日常-1-

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騎士団寮の夜の食堂。
訓練を終えた寮生たちが夕食を囲み、あちこちで談笑の声が響く。

その中で――ルシェファンは、ひときわ盛り上がっているテーブルに目を留めた。

「で、どうなったんだよ?!」
「告白したんだろ?」
「し、したけど……『もっと強くなってからじゃないと、考えられない』って言われて……」

どうやら同室の先輩が、近衛兵の娘に想いを寄せているらしい。
頬を赤くして語る姿に、ルシェファンは目をきらきらさせて椅子を寄せた。

「えぇっ!それって脈アリじゃない?!だって、強くなったらってことは、未来を考えてくれてるんだよね!」

「う、うるさいな……!ルシェファン、そういう話に食いつきすぎだろ」
「だって気になるんだもん!その後どうするの?」
「……鍛えるしかねぇよな」

仲間たちがどっと笑い、また別の寮生が口を挟む。
「俺はこの間、幼馴染に振られたぞ」
「ええっ!どうして?!」
「『あんたは私の弟みたいなもんだから』ってさ」

ルシェファンは机に身を乗り出して身悶えする。
「うわぁ~!なんか甘酸っぱいっ!そういうの、僕も一度は経験してみたいなぁ……」

その隣で静かにスープを飲むシェガラン。
ちらりと視線を向けられ、ルシェファンはぽつりと口にした。

「ねぇ、シェガラン」
「……なんだ」
「僕たちって、どう見られてるんだろうね? だって、一緒にご飯食べて、一緒に訓練して、一緒に部屋にいて……」

言いかけて、ルシェファンは首を傾げる。
「これって、さっきの『弟みたいだから』に近いのかなぁ? それとも……もっと別の?」

食堂がざわめいているのをよそに、シェガランは少しだけ考え込み、そして淡々と答えた。
「……俺に聞くな。お前がどう思うか、だろ」

「う~ん……そうなんだけどさ」
ルシェファンは、自分の頬を指でつつきながら、恋バナに夢中の仲間たちを見やった。

(僕たちって、他の人から見たらどう映るんだろう……? やっぱり、ちょっと特別なのかな?)

胸の奥に小さなもやもやを抱えながらも、ルシェファンは笑顔でまた仲間たちの話に加わり、わいわいと夜が更けていく・・・・・・。





片付けも一段落し、寮生たちは残りのパンやお菓子をつまみながら、他愛ない話で盛り上がっていた。

「なぁ、やっぱり二人って夫婦みたいだよな」
唐突に飛び出した一言に、ルシェファンはきょとんとした顔をする。

「え? 僕とシェガランが?」
「そうそう」
「なんで?」

首をかしげるルシェファンに、周りの寮生たちが「おいおい」と笑い出す。

「だってさ、毎日一緒に飯食ってんだろ?」
「同じ部屋にいて、片方が居なきゃもう片方が探しに行く」
「訓練でも常に連携取ってるしな」

「え、それって普通じゃない?」
ルシェファンは真剣に首を傾げる。

「いやいや!普通はもうちょいバラけるんだよ!」
「しかもさ、ルシェファンがちょっとでも怪我したら、シェガランが真っ先に駆けつけるし」
「逆もそうだろ? シェガランが熱出した時、お前一晩中看病してただろ」

「あぁ、それは心配だったから……」
「ほらみろ!」

「さらに言えばさ」
「シェガラン、たまにルシェファンの服に刺繡してるじゃん」
「エプロンだって貰っただろ」
「ご飯の取り分けも自然にやってるし……あれはもう夫婦の所作」

「えっ……?」

次々と証拠を突きつけられ、ルシェファンはぽかんと口を開ける。
シェガランは隣で無表情のまま、腕を組んで聞いていた。

「で、でも……僕たち、ずっと一緒に居るから、それくらい普通じゃない?」
「いや、それを普通って思ってるのがもう夫婦っぽいんだよ!」

ルシェファンは頬を赤くして「うぅ……」と唸る。
そして小声でシェガランに尋ねた。

「ねぇ、僕たちって……本当にそう見えるの?」
「……知らん。だが、そう思う奴が多いのは確かだろうな」

「そ、そうなんだぁ……」

まだ納得しきれず、でも周りの熱弁を前に反論できず、ルシェファンはただ顔を赤らめるばかり。
一方、寮生たちは大満足とばかりに「やっぱりな!」「次は結婚式の日取りかな?」と好き勝手に盛り上がり……。

結局その夜、ルシェファンは「夫婦みたいって何なんだろう?」と、ベッドに入っても頭を抱え続けるのであった。

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