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しおりを挟む「明日、ようやく智貴さまのお情けがいただけるんですね」
「その前に、誕生会をしよう。何か欲しいものはないか?」
「僕は、何もいりません。智貴さまさえ居てくだされば」
智貴は青葉の髪をいじることを止め、そっとその額にキスをした。
そして、甘い表情をやや引き締めた。
「明日の午前10時に、大切なお客様がいらっしゃる。彼にコーヒーをお出しして欲しいけれど、いいかい?」
「コーヒーを、ですか?」
智貴は、紅茶党だ。
だがお客様に併せて、彼にもコーヒーを出すべきだろうか。
青葉は一瞬ためらったが、すぐに良い笑顔と返事をよこした。
「はい。午前10時に。応接室でよろしいですか?」
「お茶は11時くらいに頼むよ」
そこまでで智貴は青葉から離れ、カップを重厚なオークのテーブルへ置き寝室へ向かった。
「おやすみなさいませ、智貴さま」
「おやすみ」
青葉は、その後ろ姿がドアの向こうへ消えるまでずっと見守っていた。
(明日、僕もあのドアの向こうへ入ることを許されるんだ)
そして、智貴さまと……。
耳まで赤くして、青葉は胸を高鳴らせていた。
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