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 マンションに戻った青葉は、普段と変わらず振舞った。
 掃除をし、洗濯をし、食事を作った。
 先ほど知った驚愕の事実の話は、一言も話さなかった。
 芳樹も、そんな彼の気持ちに気づいて、話題にすることは避けた。
 バスを使い、ベッドに潜り、明かりを落としても、青葉は寝付けなかった。
「お兄様。僕の、双子のお兄様」
 掛布を、頭から被った。
 会いたい。
 会って、話をしてみたい。
 だが、青葉は恐れていた。
 自分の存在を明るみにした後の、土門家の騒動が目に見えるようだ。
「お兄様は、僕が財産目当てで姿を現したと思うかもしれない」
 ぎゅう、と目を閉じた。
 それだけは、イヤだ。
 僕はただ、一目でいいから会って、一言でいいから言葉を交わしてみたいだけなのに。
 なかなか寝付けない青葉を、芳樹は見守っていた。
(苦しいんだな、青葉)
 今はただ、彼を見守ってあげることしかできない自分が、もどかしかった。

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