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雅臣は、空に訊ねた。
「借金、いくら?」
「1千万円」
「オークションは、いつ?」
「明後日」
短い間だったけど、ありがとう。
そう、空は締めくくった。
演奏も、そこで終わった。
空は知らずに弾いたのだろうが、ピアノはショパンの『別れの曲』だった。
1千万円。
神一族の嫡男とはいえ、まだ若い雅臣がぽんと出せる額ではない。
いつの間にか、空はそっといなくなっていた。
音楽室には、雅臣だけが残されていた。
「小室くん」
声に、そっと出してみた。
彼と出会ってから、まだわずかな時間しか、共に過ごしていない。
(二週間……? いや、10日くらいか?)
しかし、あまりにも鮮烈な出会いだった。
短くても充実した、素晴らしい日々を、空は雅臣に与えてくれた。
雅臣は、昼休みにはいつも、あの魔法の指で奏でられる、清らかな旋律を聴いていた。
その響きは、もはや彼にとって忘れがたい、かけがえのないものとして胸に宿っている。
そして、空の無垢な笑顔も。
「……小室くん。きっと、助けるから!」
もう一度、今度は力強く声に出し、雅臣は自分自身を奮い立たせた。
「借金、いくら?」
「1千万円」
「オークションは、いつ?」
「明後日」
短い間だったけど、ありがとう。
そう、空は締めくくった。
演奏も、そこで終わった。
空は知らずに弾いたのだろうが、ピアノはショパンの『別れの曲』だった。
1千万円。
神一族の嫡男とはいえ、まだ若い雅臣がぽんと出せる額ではない。
いつの間にか、空はそっといなくなっていた。
音楽室には、雅臣だけが残されていた。
「小室くん」
声に、そっと出してみた。
彼と出会ってから、まだわずかな時間しか、共に過ごしていない。
(二週間……? いや、10日くらいか?)
しかし、あまりにも鮮烈な出会いだった。
短くても充実した、素晴らしい日々を、空は雅臣に与えてくれた。
雅臣は、昼休みにはいつも、あの魔法の指で奏でられる、清らかな旋律を聴いていた。
その響きは、もはや彼にとって忘れがたい、かけがえのないものとして胸に宿っている。
そして、空の無垢な笑顔も。
「……小室くん。きっと、助けるから!」
もう一度、今度は力強く声に出し、雅臣は自分自身を奮い立たせた。
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