この恋は運命

大波小波

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1話 青髭公

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 宴のただなかに、颯爽と現れた響也。

 人々と挨拶を交わし、談笑を始める彼から、麻衣は目が離せなくなっていた。

 傍にいた男性に、そっと小声で訊いてみる。

「あの、すみません。あの方は? お名前を、ご存じですか?」

「彼が今夜の主催者。飛鳥 響也さんだよ」

 頬を染め、興奮した面持ちの麻衣を、男性は微笑ましく見ていた。

「確かに今宵の宴は、マッチング・パーティーだけど。一番パートナー選びに一生懸命なのは、彼さ」

「どういうことでしょう。飛鳥さまは、独身でいらっしゃるんですか?」

 それには、二人の話を傍で聞いていた女性が声をひそめた。

「婚約破棄経験があられるのよ。3回、いえ、4回だったかしら?」

「そんなに!?」

 驚いた麻衣に、声が大きい、とでも言うように、女性は唇に指を当てて見せた。

「恐ろしいニックネームで、呼ばれているわ。『青髭公』と」

「そんな怖い人には、見えませんけど」

 青髭公、とは、海外の昔話に登場する、嫁いできた妻を次々と殺害する男のことだ。

「確かに、婚約者を殺しはしないけれど」

 女性は、悲しそうな眼差しで、麻衣を見た。

「婚約して1年の間に子どもができなかったら、女性は離縁させられるのよ。一方的に」

「そんな」

 笑顔を振りまく、響也

 そんな彼を見ながら、麻衣はとても信じられなかった。

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