この恋は運命

 飛鳥 響也(あすか きょうや)は、大富豪の御曹司だ。
 申し分のない家柄と財力に加え、頭脳明晰、華やかなルックスと、非の打ち所がない。
 第二性はアルファということも手伝って、彼は30歳になるまで恋人に不自由したことがなかった。
 しかし、あまたの令嬢と関係を持っても、世継ぎには恵まれない。
 合理的な響也は、一年たっても相手が懐妊しなければ、婚約は破棄するのだ。
 そんな非情な彼は、社交界で『青髭公』とささやかれていた。
 海外の昔話にある、娶る妻を次々に殺害する『青髭公』になぞらえているのだ。
 ある日、新しいパートナーを探そうと、響也はマッチング・パーティーを開く。
 そこへ天使が舞い降りるように現れたのは、早乙女 麻衣(さおとめ まい)と名乗る18歳の少年だ。
 麻衣は父に連れられて、経営難の早乙女家を救うべく、資産家とお近づきになろうとパーティーに参加していた。
 響也は麻衣に、一目で惹かれてしまう。
 明るく素直な性格も気に入り、プライベートルームに彼を誘ってみた。
 第二性がオメガならば、男性でも出産が可能だ。
 しかし麻衣は、恋愛経験のないウブな少年だった。
 そして、その初めてを捧げる代わりに、響也と正式に婚約したいと望む。
 彼は、早乙女家のもとで働く人々を救いたい一心なのだ。
 そんな麻衣の熱意に打たれ、響也は自分の屋敷へ彼を婚約者として迎えることに決めた。
 喜び勇んで響也の屋敷へと入った麻衣だったが、厳しい現実が待っていた。
 一つ屋根の下に住んでいながら、響也に会うことすらままならないのだ。
 ワーカホリックの響也は、これまで婚約した令嬢たちとは、妊娠しやすいタイミングでしか会わないような男だった。
 子どもを授からなかったら、別れる運命にある響也と麻衣に、波乱万丈な一年間の幕が上がる。
 二人の間に果たして、赤ちゃんはやって来るのか……。
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