この恋は運命

大波小波

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 電車の中で、にこにこと駅弁を食べ。

 レンタカーで、ごとごとと山道に揺られ。

 響也と麻衣は、秘湯の隠れ宿に到着した。

 国内はもとより、海外からもセレブが集う、人気の旅館……。

 ……の、裏の、旧館に二人は案内された。

「は?」

「響也さん、これ……」

 それは木造の、明らかに古びた建物だ。

「話が違うぞ。支配人を呼べ!」

「落ち着いて、響也さん!」

 麻衣にたしなめられた響也が、宿の支配人に聞くところによると。

「新館の予約状況によっては、旧館にご案内します、との但し書きに、お客様はイエスとお答えになられて!」

「そ! ……う、だった。かな?」

 何せ、麻衣に頼られて有頂天になっていた時のことだ。

 うっかり、勢いでクリックしてしまったのだろう。

「新館に宿泊する客と交渉して、変わってもらおうか」

 どうする? といった表情で、響也は麻衣を見た。

「でも、響也さん。この旧館も、趣があっていいですよ」

 古民家といった風情の建築は、確かに心を和ませる。

 内装はちゃんとリフォームしてありますので、と言う支配人の言葉もあって、二人はそのまま旧館に泊ることにした。
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