59 / 228
4
しおりを挟む「黙って聞いていれば、勝手なことをべらべらと。私だって、きちんと体の管理はしている!」
「ほう。言ってみろ」
「精液検査をし、精子の状態を良好に保つようにしている。私の精子は数が多いし、活発だし、損傷もない!」
「うん、解った。じゃあ、他には?」
「えっ?」
他には、とは?
他に、何かあるのか? といった表情の響也だ。
やれやれ、と哲郎は肩をすくめて麻衣の方を向いた。
「な? 恋人失格だろう?」
「そうですね……」
麻衣も、呆れて溜息をついている。
響也は、慌てた。
「麻衣までも。何だなんだ、一体私の、どこがいけない!?」
「精子の管理だけして、女性の排卵日に併せてだけ、会いに来る」
お前は、そういうやつだ。
哲郎は、麻衣に顔を近づけ小声で言った。
「こいつはね。初等科の頃から、欲しいものは必ず手に入れる男だった」
「はい」
「だけど。手に入れてしまった後は、次第に興味を失くす」
響也は、哲郎の襟首を後ろから掴んで、麻衣から引きはがした。
「私には、仕事がある。婚約者にばかり時間を割いては、いられないんだ!」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
261
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる