この恋は運命

大波小波

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 ダイニングの大きなテーブルには、スウィーツや果物がずらりと並んでいる。

 ドリンクは全て、ノンアルコールだ。

「今夜は、子どもたちが主役のパーティーですから」

 そう言って、響也は朱泥の急須を傾けた。

 薫り高い煎茶が、両家の年長者に振舞われる。

「響也さんが、手ずからお茶を淹れてくれるなんて」

「初めて、だなぁ!」

 これまでの息子なら、バリスタにお任せのところだ。

 夫婦は、響也の心からのもてなしを喜んだ。

 茶菓子は、麻衣の手から渡された。

「和三盆糖の、干菓子です」

 その落ち着いた所作は、麻衣の父を驚かせた。

「すっかり、大人の仕草が身に着いたな」

 子どもたちが好む洋菓子だけでなく、控えめな甘さの和菓子や、それに合わせた茶を準備している心遣いも、見事だ。

 離れて、子どもたち相手にビンゴゲームを始めた響也と麻衣を眺めながら、夫婦はしみじみと語った。

「響也のやつ、見違えるように成長しおった」

「そうですわね。あんなに、身勝手な子だったのに」

 それをおっしゃるなら、うちの息子もですよ、と麻衣の父が目を細めた。

「世間知らずで、甘えん坊で。そのくせ、無鉄砲な子どもでした」

 微笑み合い、うなずき合いながら両家が思うところは、同じだった。

『本当に、似合いの二人だ』

 しかし一方で、こうも思う。

『子どもは、まだ授からないのだろうか』

 タイムリミットは、刻一刻と近づいていた。

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