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しおりを挟む「麻衣くん、すまない。君の気持ちを、考えていなかった」
「いいえ。哲郎先生が、こんなに一生懸命になってくださって。僕、嬉しいです」
それに、と響也が明るい声を上げた。
「診断書を捏造した、となると。哲郎、お前の医師としての評判は、さらにガタ落ちだからな!」
「さらに、は余計だ!」
診察室は笑いに包まれ、和やかな空気になった。
そこで哲郎は背筋を伸ばし、両膝をポンと叩いた。
椅子に掛けたままデスクの引き出しを開け、四角い包みを取り出した。
「少し早いが、響也に誕生日プレゼントだ!」
「プレゼント!? お前が? 私に!?」
青天の霹靂だ、と響也は包みを開けた。
そこには、ペアのマグカップが大切に包装されていた。
「赤と、白……」
「紅白で、めでたいだろ?」
茶化した後、哲郎は真顔で告げた。
「響也。来年の誕生日も、これで麻衣くんと一緒にコーヒーを飲むんだ」
親の反対なんか、蹴散らしちまえ!
荒っぽいが優しさに満ちた友人からのエールを、響也はありがたく受け取った。
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