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しおりを挟む「こんばんは、麻衣です。今朝は、ありがとうございました」
『こちらこそ。訪ねてくださって、ありがとう。とても楽しかったわ』
響也の母・凛子の声は、明るく朗らかだ。
麻衣は、心の中でホッとしていた。
『こんな時刻に。しかも傍に響也がいない時を狙って、お電話を差し上げる非礼を許してね』
「いいえ。僕だけに、特別なお話しがあられるのですか?」
『さすが、聡明でいらっしゃるわ』
その通りだ、と凛子は麻衣に、まず本家での刺々しい物言いを謝った。
一年で子どもができなければ、響也と麻衣は別れねばならない、と放ったことだ。
『あれは、響也を戒めて。覚悟を決めさせるための、言葉です。麻衣くんを苛めるものでは、ないのよ』
「そうだったんですね」
『わたくしも、壱郎さんも。麻衣くんを、響也にはもったいないくらいの人だと思っています』
「いえ、そんな」
褒められて悪い気はしないが、凛子の話しはそこで終わりではなかった。
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