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しおりを挟む診察室には、すでに朝食を済ませた哲郎が控えていた。
「おはよう、麻衣くん。響也は、優しくしてくれたかい?」
「はい」
「幸せな気持ちに、なれたかな?」
「とても」
頬を染め、微笑む麻衣に、哲郎は安心した。
(とりあえず、最初のハードルはクリアしたんだな)
体温や血圧、血中酸素濃度を測り、問診へと続く。
「昨夜は、よく眠れた? 倦怠感は? お腹はちゃんと空いてる?」
そんな診察を済ませて、哲郎は最後にこう言った。
「よし。じゃあ、お尻を見せて」
「え!?」
驚き戸惑う麻衣に、哲郎は診察ベッドを指し示した。
「ズボンを脱いで、お尻を出して。そして、横向きに寝てから、足を曲げて」
「え、えっと。あの、その……」
「肛門が傷ついてないか、炎症を起こしてないかを、診るだけだよ」
「……」
真っ赤になってうつむいてしまった麻衣に、哲郎は明るく笑いかけた。
「心配しないで。俺は、医者だよ?」
「は、はい」
耳まで赤くなった麻衣を、哲郎は診た。
幸い異常は見られず、麻衣はすぐにスラックスを履くことができた。
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