この恋は運命

大波小波

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「響也さん、早く! こっち、こっち!」

「ま、待ってくれ、麻衣!」

 軽快に馬を駆り、笑顔を輝かせる麻衣。

 藪を越え、水たまりを跳ね、草をかき分けて進む。

 その技術は、響也の想像をはるかに超えていた。

「全く。すぐに追いつかれてしまったな。この分だと、追い越されるのも時間の問題だ」

 動物が好きな、麻衣だ。

 馬の気持ちを読むことも、巧いのだろう。

「麻衣、乗馬は好きかい?」

「はい! すごく、楽しいです!」

「よし。では、仕上げに馬場まで競争だ!」

「あ、待ってください!」

 先に走り出した響也だが、すぐに麻衣は迫ってくる。

「楽しい! 楽しいな、麻衣!」

「はい、響也さん!」

 抜きつ抜かれつ、笑顔を交わしながら、二人は馬場へと駆けた。

「私の勝ちだな」

「いいえ、僕の方が速かったですよ?」

 そんな風に、声を立てて笑い合いながら、到着した。

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