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響也は、麻衣に目を奪われた。
彼の父親に、無理やり見せられたスナップ写真で、顔は覚えていたが。
実際の麻衣は、輝きがまるで違った。
何という、美しさだ!
纏う空気が、滲み出る品格が、汚れなき魂が、響也の心を捕えて離さない。
喧噪の中、そこだけがしんと静まり返っているような空間が、あった。
まるで、天使が舞い降りて来たかのような。
響也は心の乱れを自覚し、必死で平静を装った。
笑顔を作り、明るく振舞う。
巧みなジョークで、場を盛り上げる。
しかし、そうすればするほど、視野の片隅に入る麻衣のことが気になって仕方がない。
次第に数名の男性が、可憐な麻衣に近寄ってくる。
何を、話している?
なぜ、笑っている?
誰を、見ている?
何、なぜ、誰を……!
「麻衣くん。こちらで一緒に、話さないか?」
ついに響也は、麻衣に声を掛けていた。
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