金曜日の少年~「仕方ないよね。僕は、オメガなんだもの」虐げられた駿は、わがまま御曹司アルファの伊織に振り回されるうちに変わってゆく~

大波小波

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 ディナーの後は、オーディオルームで、クリスマスソングを聴いた。
「クラシックコンサートに出かけようかとも思ったけど、やめておいたよ」
 今夜は、駿と二人きりで過ごしたかったからね、との伊織の言葉が嬉しい。
「人ごみに揉まれるより、こうして静かに二人きりで、ね」
 伊織と駿は、ソファに体を預け、手を取り合って安らかな聖歌に浸った。
 でも、とも思う。
(僕は、こうして伊織さまと一緒でも、いいのかな?)
 駿は、気になったことを訊ねてみた。
「伊織さま、今日は火曜日です」
「うん、そうだが?」
「本当なら、『火曜日の少年』と過ごす日だったんじゃないですか?」
 それには、シニカルに笑う伊織だ。
「彼には他に男がいる。これ幸いに、そいつと仲良くやっているさ」
 そして、駿の肩を抱き寄せた。
「インフルエンザだと嘘をついたのは、他の誰でもない駿と、イヴを過ごしたかったからでもあるんだ」
 他の、どの曜日の少年でもない、駿と。
「伊織さま」
 そのまま二人は、そっとキスを交わした。
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