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しおりを挟むそこへ、衛が心を込めて淹れた一杯が用意された。
「いや、衛。私はコーヒーよりも、まずお前と話しを」
「まずは、一口どうぞ。ブラックアイボリーです」
「ブラックアイボリー? 初めて聞く銘柄だな」
ふん、と父親は口をへ文字に曲げた。
「ブルーマウンテンとか、キリマンジャロとか。そういった、有名な高級豆は無いのか?」
この言葉には、こっそり笑う秀一と早紀だ。
「弓月さんのお父さん、コーヒーには詳しくなさそうだね」
「ブラックアイボリーは、超・高級豆なのにね!」
だが衛は何も言わずに、父にコーヒーを勧めた。
「私の、数年もの時間の結晶です。飲んでください」
「まぁ、そこまで言うなら」
父が、カップを持った。
衛は、じっとそれを見守った。
秀一も、早紀も。
息を詰めて、感想を待った。
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