二つの顔を持つ二人 ~イケメン俳優×カフェの少年~ 彼の前でなら本当の自分を見せられる

大波小波

文字の大きさ
11 / 85

1話 ハートに近づくハリケーン

しおりを挟む
 純真無垢な郁実の前で、まだ上辺だけの虚勢を張る自分が、恥ずかしい。
 そう考えた颯真は、心を落ち着けた。
 そして郁実のように、思ったまま、感じたままを、素直に話すことにした。
「とっても美味しいよ、コーヒー」
「ありがとうございます」
 本当に、美味しい。
 静かに、二人でカップを傾けた。

 このコーヒー、どこで出来た豆なのかな。
 ブルーマウンテンですから、ジャマイカですね。
 そうか。過酷な歴史をたどって来た国だね。
 はい。でも、訪ねてみたい所です……。

 ぽつりぽつりとした、会話。
 だが、その間には、穏やかで満ち足りた時間が流れていった。

「また、会ってくれるかな」
「喜んで」
 とはいえ、忙しいこの身だ。
 今度会えるのは、いつになることやら。
 颯真は郁実に、カードキーを渡した。
「これ、この部屋のキーなんだ。時々上がって、風を通してくれないかな」
「いいんですか?」
「自分の家みたいに、使ってくれて構わないよ」
 実際は郁実が上がり込まなくても、オートで換気がなされる。
 颯真の持つ端末を通じて、窓の開閉も可能だ。
 だが、颯真は何か口実が欲しかった。
 この少年との縁を繋ぐ、口実が。

 マンションからカフェまでは短いドライブだったが、颯真はオーディオでジャズを流した。
 郁実は、嬉しそうにそれを口ずさんでいる。
 曲がちょうど終わった時、喫茶店前に着いた。
「ありがとうございました」
「いいんだよ」
 お父さんによろしく、と爽やかに言い残し、颯真はポルシェで走り去った。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

薔薇摘む人

Kokonuca.
BL
おじさんに引き取られた男の子のお話。全部で短編三部作になります

【完結】俺はずっと、おまえのお嫁さんになりたかったんだ。

ペガサスサクラ
BL
※あらすじ、後半の内容にやや二章のネタバレを含みます。 幼なじみの悠也に、恋心を抱くことに罪悪感を持ち続ける楓。 逃げるように東京の大学に行き、田舎故郷に二度と帰るつもりもなかったが、大学三年の夏休みに母親からの電話をきっかけに帰省することになる。 見慣れた駅のホームには、悠也が待っていた。あの頃と変わらない無邪気な笑顔のままー。 何年もずっと連絡をとらずにいた自分を笑って許す悠也に、楓は戸惑いながらも、そばにいたい、という気持ちを抑えられず一緒に過ごすようになる。もう少し今だけ、この夏が終わったら今度こそ悠也のもとを去るのだと言い聞かせながら。 しかしある夜、悠也が、「ずっと親友だ」と自分に無邪気に伝えてくることに耐えきれなくなった楓は…。 お互いを大切に思いながらも、「すき」の色が違うこととうまく向き合えない、不器用な少年二人の物語。 主人公楓目線の、片思いBL。 プラトニックラブ。 いいね、感想大変励みになっています!読んでくださって本当にありがとうございます。 2024.11.27 無事本編完結しました。感謝。 最終章投稿後、第四章 3.5話を追記しています。 (この回は箸休めのようなものなので、読まなくても次の章に差し支えはないです。) 番外編は、2人の高校時代のお話。

俺が聖女なわけがない!

krm
BL
平凡な青年ルセルは、聖女選定の儀でまさかの“聖女”に選ばれてしまう。混乱する中、ルセルに手を差し伸べたのは、誰もが見惚れるほどの美しさを持つ王子、アルティス。男なのに聖女、しかも王子と一緒に過ごすことになるなんて――!? 次々に降りかかる試練にルセルはどう立ち向かうのか、王子との絆はどのように発展していくのか……? 聖女ルセルの運命やいかに――!? 愛と宿命の異世界ファンタジーBL!

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

【完結】イケメン天才画家に溺愛されて、灰色の世界が色づきました

砂原紗藍
BL
描いて、触れて、好きになる。 “色が見えない僕”を、イケメン天才画家が全力で甘やかす。 大学生の七瀬ユウは、透明感のある美少年としてちょっとした噂の的。 けれどユウは“色”が見えない。 一年前、心が壊れ、灰色に沈んだ日々を送っていた。 そんなユウの前に現れたのは、イケメンの若手画家・高来 湊。 出会って早々、湊はユウをモデルにスカウトしてきて―― 「君、すっごく可愛い。俺に描かせて?」 強引だけど面倒見がよく、意外と優しい湊。 実は彼は、作品が三億で落札されるほどの“とんでもない天才画家”。 そして、週一のセッションで、ユウの世界は少しずつ“変化”し始める。 ところが、とあるトラブルをきっかけに距離が縮まりすぎてしまい、湊の溺愛スイッチが完全に入ってしまって……? 「ユウは俺が守る。絶対に」 これは、色を失っていた大学生が、イケメン天才画家に甘やかされて恋に落ちていく物語。

しっかり者で、泣き虫で、甘えん坊のユメ。

西友
BL
 こぼれ話し、完結です。  ありがとうございました!  母子家庭で育った璃空(りく)は、年の離れた弟の面倒も見る、しっかり者。  でも、恋人の優斗(ゆうと)の前では、甘えん坊になってしまう。でも、いつまでもこんな幸せな日は続かないと、いつか終わる日が来ると、いつも心の片隅で覚悟はしていた。  だがいざ失ってみると、その辛さ、哀しみは想像を絶するもので……

黒の執愛~黒い弁護士に気を付けろ~

ひなた翠
BL
小野寺真弥31歳。 転職して三か月。恋人と同じ職場で中途採用の新人枠で働くことに……。 朝から晩まで必死に働く自分と、真逆に事務所のトップ2として悠々自適に仕事をこなす恋人の小林豊28歳。 生活のリズムも合わず……年下ワンコ攻め小林に毎晩のように求められてーー。 どうしたらいいのかと迷走する真弥をよそに、熱すぎる想いをぶつけてくる小林を拒めなくて……。 忙しい大人の甘いオフィスラブ。 フジョッシーさんの、オフィスラブのコンテスト参加作品です。

処理中です...