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颯真が用意したものは、もちろんそれだけではなかった。
「郁実くんにも。はい、プレゼント」
「ありがとうございます!」
郁実は、わくわくして赤い包みを開けた。
何だろう。
柔らかい。
中からは、肌触りの良いセーターが現れた。
ネイビーに、ラスタカラーのワンポイントが袖に入った、とてもオシャレな逸品だ。
「うわぁ、カッコいい!」
「気に入ってくれた?」
これは、颯真がデザインした『ソウマブランド』のセーターだ。
だが彼は、それを郁実に言うのは、やめておいた。
俺をもっと深く知れば、いつか気づく日が来るだろう。
(その時、郁実くんは何というかな?)
颯真は、未来の自分へプレゼントを渡していた。
「じゃあ今度は、僕から五条さんへクリスマスプレゼントを」
「郁実くんが、俺に? 嬉しいね、何だろう」
「父さんと一緒に、作りました」
渡された包みは小さいが、ずしりと重い。
謎めいたプレゼントを開けて、颯真は思わず歓声を上げた。
「ブランデーケーキだ!」
「五条さんの好物だ、って。ネットで調べました」
ありがとう、と颯真はにこやかに礼を言った。
ファンからの贈り物には、食品も多い。
だが食中毒や、異物混入を恐れて、颯真はそれらをそっと処分していた。
バレンタインデーのチョコレートも、全て破棄していた。
だが、このブランデーケーキだけは!
食べずにはいられない!
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