月まで連れてって 恋に戸惑う闇クラブオーナー・アルファ×弟の為に身を売る健気・オメガ ~上下関係を越えた愛が生まれる~

大波小波

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 バスを使い、遥はベッドに掛けて了を待った。
 肌に心地よいバスローブを纏い、素足でスリッパをぶらぶらと遊ばせながら。
 やがてバスルームから、了が出てきた。
「ドライヤーで、髪を乾かしてくれ」
「はい!」
 風を送る遥に併せて、了は手櫛で髪を整える。
 そこへ、器械の音に紛れて、遥の鼻歌が聞こえて来た。

「ご機嫌だな」
「え? あ! すみません!」
 合唱部に所属していたので、つい歌が口をついて出てしまう時があるのだ、と遥は話した。
「合唱部か。道理で体力、気力が強いわけだ」
「解ってくださいますか?」
 きちんと活動している合唱部は、歌う前に体力づくりやボイストレーニングを行う。
 それは、運動部と同様に厳しく、過酷なものであることが多かった。
(遥の基礎は、部活で培われたものだったのか)
 先輩、後輩の上下関係もあっただろうから、接客にも向いている、というわけだ。

「何を歌ってたんだ?」
「ご存じですか? 『Fly Me to the Moon』です」
「知ってるよ、有名な曲だ」
 だが、なぜ遥はこの場でそんな明るい曲を?
(クラブに行かずに済んだことが、よほど嬉しかったのだろう)
 だが、遥は遥で、また別のことを考えていた。

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