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しおりを挟む「私の知り合いに、腕のいい医者がいるんだ。君の弟に、紹介してやってもいい」
「えっ」
「4ヶ月より早く手術ができるように、取り計らってもらおう」
「いいんですか!?」
ぱっと、遥の表情が晴れた。
「ただ、私も思い付きで話している。あまり急いで喜ぶな」
了は、遥に細かな手順を示した。
「当の医者に予定を聞いたり、弟くんのカルテを見てもらったりしてからの話、だ」
それでも構いません、と遥は身を乗り出した。
「少しでも、早く病気が治せるのなら!」
「解った解った。落ち着け」
喰いつく勢いの遥を、了はなだめた。
「ところで、その。弟くんの写真などあるか? 一度、顔を見てみたい」
「あります」
一度席を立って遥が持ってきたフレームには、二人の少年が仲良く並んだスナップが入れてあった。
中学生の頃の写真だろうか。
遥は今より、ずいぶん幼く見える。
そして、その横の弟。
遥をヤンチャにしたような、黒髪で目の円い少年が写っていた。
「弟も、了さんと同じアルファなんですよ」
「なるほど」
だけど、あんなに重い病気になるなんて、と遥は瞼を伏せた。
「病気なら、オメガの僕がかかればよかったのに」
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