月まで連れてって 恋に戸惑う闇クラブオーナー・アルファ×弟の為に身を売る健気・オメガ ~上下関係を越えた愛が生まれる~

大波小波

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 いつものように道具責めの後で、たっぷりと弄ばれた遥は、朦朧としていた。
 体内には、三回分の遠山の精が。
(うう。気持ち悪いよう……)
 もうピクリとも動けない遥に、遠山が猫なで声を掛けた。
「今夜は、とびきりのプレゼントを持って来てあるんだよ、遥」
 ベッドから降りた遠山は、ソファに置いてあったアタッシュケースに手を掛けた。
「?」
 重い体を起こし、ベッドに座った遥は、遠山の所作をおぼろげに見ている。
 開いたケースの中には、札束がぎっしり詰まっていた。

「え? これって……」
「これをね、遥にあげよう。だから、私のところに来なさい」
「でも僕、3年間は勤めないと……」
「後で私が、金で解決してあげる。だから、今夜は私と一緒に帰ろう」
 遥の目が、ぐるぐると回る。
 思考が、渦巻く。
(あんなにたくさんの、お金。あれだけあれば、治療費と手術代が……)

「遥、惑わされるな!」
 は、と遥は我に返った。
 了が、室内へ飛び込んできたのだ。

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