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しおりを挟む「ただいま帰りました」
「おかえり、幸樹くん!」
どうだった? と勢い込んで話す遠山の顔つきは、やや心配そうだ。
「素敵でした……」
どこか、うっとりとした幸樹の眼差し。
ここに居ながら、どこか別の場所に魂を置いてきたような、微笑み。
「幸樹くん。私が訊いているのは九丈さんのことじゃなくって、お父さんの方!」
「え!? あ! ごめんなさい。素敵な人でした!」
まったく、と遠山は腰に手を当てた。
「おおかた、別れ際にキスでもしたんだろう。ん?」
「あ、はい……」
(遠山さん、ごめんなさい。それ以上のこと、やってきました……)
しかも、僕の方からおねだりをして!
恥ずかしい。
でも、思い切って言ってみて良かった。
互いに結婚の意思があることを確かめ合い、一歩踏み出せたような気がする。
(明日は、お父さんが遠山さんに会いに来てくれる)
どうか二人が、意気投合できますように。
そして、玄馬さんとの結婚を許してもらえますように。
心から、そう願わずにはいられない幸樹だった。
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