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 ディナーを終え、バスタイムでくつろぎ、章は志乃に手を引かれて寝室へと急がされた。
「さ、章さん。一緒に寝よう!」
「ちょっと待ってよ。いいの?」
 足を負傷した志乃にベッドを譲り、これまで寝室の床に布団を敷いて寝ていた、章だ。
 久しぶりにベッドで眠れることは嬉しいが、志乃への配慮が先に立つ。
「足、私の体がぶつかったりしても、平気? 痛くない?」
「もう、大丈夫。お医者さんも、治ったよ、って言ったし!」
 ぽん、とベッドに飛び乗り、志乃はしゃがんで自分の隣を軽く叩いた。
「はい、ここに来て」
「大丈夫かなぁ」
 恐る恐る、久々のベッドに上がった。
 志乃の隣に寄り添い、彼の顔を見た。
 少し伏せた瞼に、柔らかな微笑み。
 そして志乃は、静かに言った。
「章さん。……抱いてくれる?」
 章は、息を飲んだ。
 思わず、変な声が出そうになったが、そこはぐっと飲み込んだ。
 志乃の様子は、そういう雰囲気ではなかったからだ。
「志乃くん」
 名を呼ぶだけで、精いっぱいだった。
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