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しおりを挟む互いに水を口移しで飲ませ合い、笑い合った後、ふと静寂が訪れた。
その沈黙すら、愛おしい大切な時間だ。
志乃は章にもたれかかり、この上ない安らぎを覚えていた。
それは章も同じことで、彼は静かに志乃の髪を撫でていた。
「僕ね。好きな人とエッチするの、初めて」
「私も、こうして好きな人と触れ合うことは、初めてだよ」
ただただ、優しい時が流れる。
もう少し、こうしていたいとは思ったが、志乃は身をひねって章の方を向いた。
「ね。……来て」
「うん」
ベッドに仰向けに寝そべって、志乃は少しだけ脚を開いた。
恥じらいの仕草が、たまらなく可愛い。
章は、その左足首をそっと掴み、彼に問いかけた。
「ここ、本当にもう大丈夫? 痛くない?」
「うん。平気」
「痛かったら、言って。絶対に、だよ?」
「はい」
そこで章は、手を右の足首に持ち替えると、ゆっくり上へ上げた。
左手は志乃の太ももの裏に当て、ようやく治った傷をいたわりながら掲げた。
美しくも妖しい紅の蕾が、章を誘う。
オメガの体液で濡れ光り、早くここへと誘惑する。
瞼を一度閉じ、喉をひくりと上下させて、章はスキンを着けたその自らを志乃へ押し当てた。
「あっ……。う、んぅ、う。はぁ、あ。あ、はぁ、あぁ……」
腰を奥に進めるたびに、志乃の声が奏でられる。
その響きにのぼせ上りながら、章は深く彼の中へと杭を埋め込んでいった。
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