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しおりを挟むスキンを手にした章に、志乃は頬を膨らませた。
「また、着けるの?」
「だって。避妊はちゃんとしなきゃ」
今、赤ちゃんができると、志乃くんはお母さんのドナーになれないよ?
正論で武装する、章だ。
「解ってるけど。でも……」
一度だけでも、章としっかり結ばれてみたい。
間に何の障壁もなく、彼と一つに交わりたい。
そんな切ない願いが、志乃にはあった。
「ね、お願い。一度だけ。今夜だけ!」
「駄目だよ」
「お正月だよ? おめでたい日だから、ね?」
「いけないよ」
「お願い! お願い! お願い!」
「えぇ……?」
章は困ってしまったが、さっきまで頑張ってくれていた志乃に、ご褒美をあげたい気持ちはある。
「今日は、安全日?」
「うん!」
「ピルは、飲んでる?」
「うん!」
目をキラキラさせて、おねだりの眼差しの、志乃だ。
その可愛らしい色香に、章は負けた。
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