20 / 105
2
しおりを挟む就職してからは、竜也は母の元を離れてマンションで暮らしている。
会社が用意してくれた、社宅だが。
それでも、地方随一の不動産業が取り扱うマンションだ。
優雅で快適な暮らしを、送っていた。
『その会社にも、竜也は父さんのコネで入社したのよ』
「ええっ!? 何それ、聞いてないけど!?」
『黙ってた方が、あなたのプライドを傷つけないと思って』
「だったら、最後まで内緒にしててよ……」
とにかく母が言うには、無事に成人できたのも、一流企業に就職できたのも、父さんのおかげ。
『だから、ね。今のうちに、会っておきなさい』
「今のうちに、って。どういう意味?」
『父さん、末期がんで。もう長くないそうなの』
「な……!」
突然のことが多すぎて、頭が、心が追い付かない。
そんな竜也に、母は一方的に日時を決めてきた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
22
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる