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「どうぞ」
「ありがとう」
 朋が淹れてくれたアイスコーヒーを飲むころには、日が西へ傾きかけていた。
 愛し合い、少しまどろみ。
 シャワーを浴びて、二人は再びリビングで向き合っていた。

「僕、竜也さんに謝らなくては」
「え? 何を?」
「結婚を前提にお付き合いすることを決めたのは、正吾さんのためでした」
 それは別にいいよ、と竜也は微笑んだ。
「父さんの余命を考えれば、安心させたくなるよね」
「僕は、正吾さんに救われたんです。それで、つい」

 朋は、正吾との出会いを語った。
 寒くて震えているところを、正吾に拾われた、と。
「食べるものも、休むところも無くて。苦しくて辛くて震えている僕を、正吾さんが温めてくれました」
 みすぼらしい身なりの朋だったが、ダイヤモンドの原石であることを見抜いた正吾は、彼を愛人として養う道を選んだのだ。

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