94 / 105
6
しおりを挟む
サイレンを鳴らし病院へ急ぐ救急車の中で、横たわった竜也は、ようやく声が出せるほどになっていた。
「朋……無事で、良かった……」
「僕は、大丈夫です。しっかりして、竜也さん」
「防弾チョッキを着ていたから、大、丈夫、だよ。……ッ痛」
僕を助けるために、あんな危険な真似を。
涙をぽろぽろこぼす朋の頬に、竜也は手を当てた。
冷たい、手だ。
朋はその手を取り、温めた。
いつも、僕を温めてくれていた竜也さん。
今こそ、僕が彼を温めてあげる番なんだ。
「朋……」
「何ですか?」
「今、すっごく、痛いんだ……」
だから、痛み止めのおまじないが欲しい。
そう言って、竜也は軽く片目を閉じて見せた。
「キス、してくれないかな」
「竜也さんの、バカ……。ホントに、もう……。馬鹿、バカ……」
朋は、竜也の乾いた冷たい唇に、キスをした。
「朋は……あったかいなぁ……」
二人は何度も、何度でも、キスをした。
「朋……無事で、良かった……」
「僕は、大丈夫です。しっかりして、竜也さん」
「防弾チョッキを着ていたから、大、丈夫、だよ。……ッ痛」
僕を助けるために、あんな危険な真似を。
涙をぽろぽろこぼす朋の頬に、竜也は手を当てた。
冷たい、手だ。
朋はその手を取り、温めた。
いつも、僕を温めてくれていた竜也さん。
今こそ、僕が彼を温めてあげる番なんだ。
「朋……」
「何ですか?」
「今、すっごく、痛いんだ……」
だから、痛み止めのおまじないが欲しい。
そう言って、竜也は軽く片目を閉じて見せた。
「キス、してくれないかな」
「竜也さんの、バカ……。ホントに、もう……。馬鹿、バカ……」
朋は、竜也の乾いた冷たい唇に、キスをした。
「朋は……あったかいなぁ……」
二人は何度も、何度でも、キスをした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
22
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる