青いバラの花言葉 ~ミステリアス若様アルファ×不憫健気オメガ どうしよう。叶さんのこと、どんどん好きになっていっちゃう~

大波小波

文字の大きさ
32 / 67

5


 思いがけない昼寝から目覚めると、瑞樹の隣に誠の姿はなかった。
 起き出した瑞樹は部屋を出て、記憶をたどって屋敷内を歩いた。
 外へ出ると日差しが眩しく、空がやけに青い。
「あれは。あの時の叶さんの言葉は……」
 夢、ではないだろう。
 自分は現に、彼の寝室のベッドで眠っていたのだから。
 瑞樹は、そわそわしながら残りの勤務を片付けた。
 そして。

 夜が来た。
 夜が来てしまった。
「どうしよう……」
 瑞樹は、誠の言葉と自分の返事に困惑していた。

『夜は、付き合ってもらうよ』

「あぁ! それで僕、はい、って言っちゃったんだ!」
 誠のことは、好きだ。
 穏やかで、クールで。
 父のように、激情に任せて振舞うことなどない誠を、瑞樹は信頼していた。
「でも、だからって……」
 やはり、そわそわしながら食事を終え、シャワーを浴びた。
 パジャマになったその時に、瑞樹の部屋のドアがノックされた。
「は、はいッ!」
 誠が来たのかと思ったが、入って来たのは石丸だった。

「白川さん、若様がお呼びです」
「やっぱり……!」
 僕、叶さんとエッチしなきゃならないんだ。
 うなだれていると、石丸が静かに声をかけて来た。
「どうか、若様をよろしくお願いします。そのお心を、慰めてあげてください」
「えっ?」
 どちらかと言えば、慰められたのは僕の方なのに。
 誠は、悲しく辛い話を聞いてくれた。
 優しく、髪を撫でてくれた。 
 瑞樹は石丸の言葉を不思議に感じたが、ボスの命令には従わなければならない。
 瑞樹はパジャマのまま、誠の部屋へ向かった。

感想 0

あなたにおすすめの小説

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

愛妾リオネルの幸福

垣崎 奏
BL
愛妾として隠されて生きてきた第六王子リオネルが、隣国に移り大事にされるお話。 ムーンライトノベルズにも掲載しています。

俺以外を見るのは許さないから

朝飛
BL
赤池凌平は、成瀬真介と出会い、緩やかに親交を深めてやがて恋人同士になるのだったが、時折違和感を抱いていた。  その違和感の正体が明らかになる時には、もう何もかも手遅れになってしまい……。 (女性と付き合うシーンもあります。) ※ネオページ、エブリスタにも同時掲載中。マイペースに更新します。

繋ぎの婚約を契約通り解消しようとしたら、王宮に溺愛軟禁されました

こたま
BL
エレンは子爵家のオメガ令息として産まれた。年上のアルファの王子殿下と年齢が釣り合うオメガ令息が少なく、他国との縁組も纏まらないため家格は低いが繋ぎとして一応婚約をしている。王子のことは兄のように慕っており、初恋の人ではあるけれど、契約終了時期か王子に想い人が現れた時には解消されるものと考えていた。ところが婚約解消時期の直前に王子宮に軟禁された。結婚を承諾するまでここから出さないと王子から溢れるほどの愛を与えられる。ハッピーエンドオメガバースBLです。

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

最悪の婚姻から始まるただ一つの愛

統子
BL
最悪の婚姻だった。 皇太子の正室として迎えられながら、 与えられたのは祝福ではなく、冷たい部屋と拒絶だけ。 触れられることすら恐ろしく、 ただ静かに時間が過ぎるのを待つしかなかった。 けれど—— 差し出された手は、思っていたものとは違っていた。 無理に触れない。 急がない。 ただ、こちらの様子を確かめるように、少しずつ距離を縮めてくる。 気づけば、隣に座ることが当たり前になり、 言葉を交わす時間が、夜の習慣になっていた。 触れられるたびに怖さは消え、 代わりに残るのは、離れがたい温もり。 これは、最悪の婚姻から始まった関係が、 やがて“ただ一人”へと変わっていく物語。 望まれなかったはずのはじまりが、 いつしか、何よりも大切なものになるまでの—— 静かで、優しい、溺れるような愛の記録。

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話

降魔 鬼灯
BL
 ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。  両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。  しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。  コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。