34 / 67
1話 怖くないから
『逃げ出さずにいてくれて、感謝する』
『前の子たちは、すぐにいなくなってしまったからね』
そんな誠の、寂しい響きの声。
そして、悲しい色の瞳。
瑞樹は、そこで理解した。
(以前に石丸さんが、嘆いていたっけ)
『初めてのアシスタントは、三ヶ月で辞めてしまいました。その次は、二ヶ月で』
そして、瑞樹の前のアシスタントは、一ヶ月で辞めてしまったのだ。
きっと誰もが、叶さんの夜のお相手を務めるのが嫌で、辞めて行ったんだ。
では、僕は?
「私の性欲処理に使われるのは、嫌か?」
「え、えっと。性欲処理、って言葉が、ちょっと……」
「なら、何と言えばいいのだろう」
「何でしょうか?」
ふふふ、と誠は笑った。
「面白いね、白川くんは」
ああ、その笑顔。
僕は、この叶さんの笑顔が大好き。
冷たい印象の人だけど、草刈りで命を落とす植物の悲しさを解ってくれる、あったかい心が大好き。
「大丈夫か? 君を抱いても」
「たぶん、大丈夫、です。大丈夫だと、思います」
好きな人になら、抱かれても平気。
そう、瑞樹は考えるようになっていた。
『前の子たちは、すぐにいなくなってしまったからね』
そんな誠の、寂しい響きの声。
そして、悲しい色の瞳。
瑞樹は、そこで理解した。
(以前に石丸さんが、嘆いていたっけ)
『初めてのアシスタントは、三ヶ月で辞めてしまいました。その次は、二ヶ月で』
そして、瑞樹の前のアシスタントは、一ヶ月で辞めてしまったのだ。
きっと誰もが、叶さんの夜のお相手を務めるのが嫌で、辞めて行ったんだ。
では、僕は?
「私の性欲処理に使われるのは、嫌か?」
「え、えっと。性欲処理、って言葉が、ちょっと……」
「なら、何と言えばいいのだろう」
「何でしょうか?」
ふふふ、と誠は笑った。
「面白いね、白川くんは」
ああ、その笑顔。
僕は、この叶さんの笑顔が大好き。
冷たい印象の人だけど、草刈りで命を落とす植物の悲しさを解ってくれる、あったかい心が大好き。
「大丈夫か? 君を抱いても」
「たぶん、大丈夫、です。大丈夫だと、思います」
好きな人になら、抱かれても平気。
そう、瑞樹は考えるようになっていた。
あなたにおすすめの小説
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
俺以外を見るのは許さないから
朝飛
BL
赤池凌平は、成瀬真介と出会い、緩やかに親交を深めてやがて恋人同士になるのだったが、時折違和感を抱いていた。
その違和感の正体が明らかになる時には、もう何もかも手遅れになってしまい……。
(女性と付き合うシーンもあります。)
※ネオページ、エブリスタにも同時掲載中。マイペースに更新します。
繋ぎの婚約を契約通り解消しようとしたら、王宮に溺愛軟禁されました
こたま
BL
エレンは子爵家のオメガ令息として産まれた。年上のアルファの王子殿下と年齢が釣り合うオメガ令息が少なく、他国との縁組も纏まらないため家格は低いが繋ぎとして一応婚約をしている。王子のことは兄のように慕っており、初恋の人ではあるけれど、契約終了時期か王子に想い人が現れた時には解消されるものと考えていた。ところが婚約解消時期の直前に王子宮に軟禁された。結婚を承諾するまでここから出さないと王子から溢れるほどの愛を与えられる。ハッピーエンドオメガバースBLです。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
最悪の婚姻から始まるただ一つの愛
統子
BL
最悪の婚姻だった。
皇太子の正室として迎えられながら、
与えられたのは祝福ではなく、冷たい部屋と拒絶だけ。
触れられることすら恐ろしく、
ただ静かに時間が過ぎるのを待つしかなかった。
けれど——
差し出された手は、思っていたものとは違っていた。
無理に触れない。
急がない。
ただ、こちらの様子を確かめるように、少しずつ距離を縮めてくる。
気づけば、隣に座ることが当たり前になり、
言葉を交わす時間が、夜の習慣になっていた。
触れられるたびに怖さは消え、
代わりに残るのは、離れがたい温もり。
これは、最悪の婚姻から始まった関係が、
やがて“ただ一人”へと変わっていく物語。
望まれなかったはずのはじまりが、
いつしか、何よりも大切なものになるまでの——
静かで、優しい、溺れるような愛の記録。
【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話
降魔 鬼灯
BL
ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。
両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。
しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。
コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。