青いバラの花言葉 ～ミステリアス若様アルファ×不憫健気オメガ どうしよう。叶さんのこと、どんどん好きになっていっちゃう～

5

　そしてある日、他のバラとはさらに別にして大切に育んできた10株に、蕾が付いた。
　だが、誠は浮かない顔だ。
「これが、ラストチャンスになるかもしれない」
「どういうことですか！？」
　驚く瑞樹に、誠は長い前髪をかき上げ、物憂げに話した。

「伯父が最近、経営にうるさく手を出してきてね」
「経営。植物園の、ですか？」
「うん。彼を放っておくと、財産のほとんどを奪われかねないんだ」
「そんな……」
　青いバラは、叶さんの悲願なのに。
「僕、無償でも構いません。研究、続けましょう！」
「ありがとう。でも、他のスタッフのこともあるからね」

　バラは、あくまで趣味。
　本業に戻るよ。
　そう言う誠の横顔は、悲しそうだ。悔しそうだ。
　瑞樹は、胸がつぶれそうだった。
（神様！　せめてこのバラを、青くしてください！）
　そして、毎日そう祈った。