時の舟には二人で乗ろう~自分を隠して偽り生きるイケメン俳優とモフモフあやかし少年は、愛を通して心を取り戻す~

大波小波

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「そういえば、挨拶がまだだったね。私は、桐生 隼人。よろしく」
「僕は、安達 比呂。よろしくね!」
 尋ねたいことは、たくさんあった。
 なぜ、この若さでハウスキープのプロなのか。
 なぜ、年上の私や笹山さんに対してタメ口なのか。
 そして……。

(なぜ、彼が傍にいると、こんなに心が安らぐんだろう)
 いつの間にか、ちゃっかりソファに掛けている、比呂。
 ぴったりと隼人に寄り添い、笑顔でマグカップを傾けている。
 無防備にしなだれかかり、その白い首筋や鎖骨をさらしている。

『何とか彼には、早急に辞めてもらうようにお願いしよう』

 三日前には、こんな風に思っていたが、隼人は考えを改めた。
 明るく、楽しく、前向きで。
 そして、妙な色香を持つ男の子と、同棲生活をしてみることに決めた。
 

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