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猫のあやかし・猫又として、長い年月を生きてきた、紫織。
彼はその長命の中で、ヒトの愚かさを嘲りながら過ごしてきた。
しかし、英介の優しさに触れた。
そして今回の旅を経て、その愛に応える道を選んだのだ。
英介の傍で彼の死を見送り、息子の達夫を最期まで見守る決意を固めた、紫織。
彼は比呂にだけ、そっと告げていた。
『俺は達夫さんを見送った後、猫又として生きることを辞めようと思うんだ』
「えっ? それって、つまり」
『その後は普通のネコとして、この寿命を終える、ということさ』
悠久の命を捨てて、自然に還る。
そんな紫織の言葉は、比呂の心を揺さぶった。
「僕は猫神様になって、世の中の不幸なネコたちを救おうと……」
その一心で、頑張って来た比呂だ。
だがしかし。
「猫神様になったら、紫織さんみたいに長い時を生きる。生きなきゃならないんだ」
そしてヒトの隼人は、猫神の比呂より先に、命尽きるのだ。
ぽろり、と比呂の瞳から、大粒の涙がこぼれた。
「ヤだ。死んじゃ、ヤだよ。隼人さん……!」
思っても見なかった試練が、比呂に降りかかって来た。
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