もう戻れない恋を愛というんだ ~無口極道アルファと家出少年オメガの恋は、どんどん加速してゆく~

大波小波

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1話 身の上ばなし

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 朝、昨晩の雨は、まだ降り続いていた。
 そんな雨雲をテラスから眺めながら、悠は複雑な思いを抱いていた。
「昨夜、何であんなこと言っちゃったんだろう」

『僕が、恋人になってあげても、いいよ』

『うん。僕、慎也さんの傍にいたい……』

 ほとんど寝言だったが、嘘ではない。
「でも。慎也さんは、ヤクザなのに」
 極道なんかと関わり合いは持ちたくない、とあれほど怖がっていたのに。
 そこへ、背後から突然声がした。
「来い。朝食だ」
「びっくりしたぁ!」
(僕の独り言、聞かれてないよね)
 少しドキドキしながら、慎也の後を歩く。
 キッチンには、以前と同じように素敵な食事が用意されていた。
「いただきまーす!」
「よく噛んで、食べろ」
 前はふわふわのミルクパンだったが、今日は固いカンパーニュだ。
 もぐもぐとパンを噛みながら、悠は話題を考えていた。

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