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「こいつ、よく見ると結構上玉ですよ、反田(はんだ)さん」
「ほら、立てよ」
 取り巻きたちに腕を引きあげられ、露希はよろめきながら立った。
 そして、反田と呼ばれた男に、その小さな顎を掴まれた。
(いちいち……乱暴で……痛い、っての!)
 胸の内では、相当にムカついている露希だが、歯向かう気力も逃げる体力も無い。
 大人しくしていると、じろじろと顔を眺めていた男の声が、明るくなった。
「へぇ、確かにな」
 痩せてはいるし、顔色も悪い。
 髪もぱさぱさだが、磨き上げれば極上の美少年だ。
 男たちの値踏みに、露希は思わず口走っていた。
「お兄さん、僕と遊ばない?」
 その言葉に、彼らは愉しそうにけらけら笑うと、うなずいた。
「いいだろう。遊んでやるよ」
 露希は、ホッとした。
 これで、いくらかのお金が手に入る。
 数日前から、公園の水しか飲んでいないのだ。
 何か食べるものを買うために、露希は必死だった。

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