期限付きの恋なんて!

大波小波

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1話 終わる夏

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 海祭りの日、港に隣接する大芝生広場に、高いやぐらが組まれた。
 周辺には、色とりどりの屋台が並んでいる。
 幸い天候にも恵まれ、夕刻には大勢の人々であふれかえっていた。
 その中に、要と宇実の二人の姿もあった。
「賑わってるね。ワクワクしてくるなぁ!」
「要さんは、こういうお祭り初めてなんだね」
 腹に響く和太鼓の音を感じながら、人々の笑い声を味わいながら。
 二人は、屋台を覗いて回った。
 綿菓子に、リンゴ飴。
 射的に、くじに、焼きトウモロコシ。
「僕は、要さんがお腹を壊さないか心配だよ」
「大丈夫。衛生には、気を配ってあるんだろう?」
「そういう意味じゃなくって。食べ過ぎじゃないかな、ってこと!」
 金魚すくいに足を伸ばしかけて、要はとどまった。
 すくった金魚を、マンションで世話する人間が、もういない。
 要は、明日には発つのだ。

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